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17.疑惑の第二位始祖 ページ19

フェリドがクローリーとチェス、ホーンを伴ってAの部屋に戻ると、Aは感心無さげにちらりと視線を投げてすぐに手元のティーカップを煽った。


ソーサーにカップに戻した彼女は組んでいた足を組み換える。




「Aちゃん!お兄さん追い払ってきたよ!ご褒美はAちゃんの膝枕がいいなぁ」

「クローリーとチェス、ホーンお疲れ様」

「えー!僕も頑張ったよぉ!」

「お礼に貯蔵庫にある好きな血を持っていく許可をするわ」

「ねぇー僕はー?」




視界からフェリドを外そうと首を振ろうともちょこまかと動き回り、苛立つAの心を逆撫でするように語尾の間延びした声でしつこく話かけてくる。


その様を見て呆れていたのはクローリー、チェス、ホーンの三人。


あまりにもしつこく視界に入ろうとするフェリドのポニーテールをがしっと捕まえるとやっと動きが止まった。




「あ」

「三人は好きな血を取ってらっしゃい。その間に変態の躾をしてるから」




パタンとドアが閉まり、再び二人きりになればフェリドはずいと顔をAに近づけてきた。


反射的に掴み上げていたポニーテールを引っ張り、距離を取る。




「何が不満なのご主人様ー」

「全てよ」

「でも僕を気に入ってるでしょー?」

「…チッ」

「君はお兄さんにとても似てるね。でもお兄さんの何倍も可愛いよぉ」

「…"利用価値がある"の間違いでしょう」




Aがそう言えば、フェリドは大げさに手を振って否定した。


だが、実際は彼にとってとても利用価値のある吸血鬼だからこそAはフェリドから逃れられないのだ。
彼が掴んで離さない。


上位始祖を相手にするためにもAは大切な駒だ。




「僕はAちゃんの事を愛してるから!」




軽々しい出任せである。
誰が信用するのだ。
よりによって、この男の言葉を。


今はただ、共通の敵が居て手を組んでいるだけだ。


たまに彼に良いようになってしまうのは決して心を許している訳ではない。




「もぉ〜機嫌治してよー僕もAちゃんからのご褒美欲しい」




ぷぅと頬を膨らませる彼は、端正な顔に似合わず子供のようである。

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なな - 更新頑張ってください!フエリドと夢主の甘い関係が好きです。 (2021年12月27日 22時) (レス) @page23 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - shiroさん» コメありがとうございます!力関係が逆なのに振り回されちゃう主人公可愛いですよね…。もともとはフェリドに振り回されてほしいと思って書き始めたお話なのでその点を褒めて頂けて嬉しいです。まだまだ今後もスローペースで続きますがよろしくお願いいたします! (2020年10月24日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
shiro - 夢主ちゃんがフェリドに仕えたり、人間だったりする小説は沢山読みましたが、夢主ちゃんの立場がフェリドより上という設定が今まで見たことないものですごく好きです!立場が上のはずなのにフェリドに流されちゃう夢主ちゃんが可愛いです。更新楽しみにしています! (2020年10月23日 4時) (レス) id: 33dd7ff75e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年9月18日 13時

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