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ゆっくりベットに膝を乗せ、行儀の悪い体勢で体重をかけていく。
魅惑的な臀部に手を這わそうとそこへ手を伸ばすと、いとも簡単に触れられるはずだ。
「ぅがっ…!!」
もちろんそれは抵抗が無ければの話で、今しがた鋭い蹴りを食らわされた所だ。
「出ていって!」
「もう少し大人しくしてくれている時間長くても良くないかい」
「大人しくしてれば私の貞操の危機だったわ」
「ちょっと、Aちゃんが貞操なんて言わないでよ〜……なんか想像しちゃう」
少し目尻を赤くした彼は真正の変態だ。
更なる追撃の右ストレートを避けずそのまま食らったフェリドの体は勢い良く宙を舞った。
だが彼は驚くどころか意に返すことなく言葉を続ける。
「僕が君を第二位始祖から自由にしてあげる」
そして、Aには十分過ぎる誘惑の言葉を吐いたのだった。
背中から壁に激突し、ずるずると床に落ちたフェリドはゆっくりと立ち上がり、優雅なしぐさでマントを翻す。
彼はここぞとばかりに更なる誘惑の言葉を重ね、Aの不安定な状態にある心を簡単に手中に納めることに成功した。
「じゃぁ、まず始めに僕にキスして愛を囁いてみて!」
「黙りなさいよ…フェリド。次に同じこと言ったら一生ペット呼ばわりするわ」
「僕はAちゃんのペットでもいいよぉ!」
フェリドの言葉においそれと従うほどは落ちぶれてはいない。
彼と手を結ぶことで、少しでも求めている自由に手が届けばいいと思った。
この自由の二文字を体現したかのような男に少しだけ頼ろうと思った。
それが泥船であろうが、全く構わない。
足掻きたいのだ。
現状から脱するために。
「でもやっぱり対価は貰いたいなー」
「あ、あげないわよ」
「またまた!そんなこと言って!一瞬だけ僕にご奉仕してくれれば良いんだよ」
「…―っ」
「ほら!早く!」
そう言ってずいと顔を近付けてきた彼の欲しているものがわかる。
少し悔しい。
仕方なしにぎゅっと目を瞑り、意を決してフェリドものへ押しあてた。
このあとどんなことになるかなど、今まで散々と経験してきたはずなのにAはそれを快く受け入れた。
長い舌を差し入れられ、少しずつ傾く身体に焦りを覚えた彼女は手近なものを引っ張ったが、惜しくもフェリドの銀糸を散らすだけだった。
視界の端で舞う銀がを美しいと思ってしまったのは彼女だけの秘密だ。
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なな - 更新頑張ってください!フエリドと夢主の甘い関係が好きです。 (2021年12月27日 22時) (レス) @page23 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - shiroさん» コメありがとうございます!力関係が逆なのに振り回されちゃう主人公可愛いですよね…。もともとはフェリドに振り回されてほしいと思って書き始めたお話なのでその点を褒めて頂けて嬉しいです。まだまだ今後もスローペースで続きますがよろしくお願いいたします! (2020年10月24日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
shiro - 夢主ちゃんがフェリドに仕えたり、人間だったりする小説は沢山読みましたが、夢主ちゃんの立場がフェリドより上という設定が今まで見たことないものですごく好きです!立場が上のはずなのにフェリドに流されちゃう夢主ちゃんが可愛いです。更新楽しみにしています! (2020年10月23日 4時) (レス) id: 33dd7ff75e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年9月18日 13時