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128.天と地に分かたれし運命3 ページ22

ウェ「待ってください!ジェラールは記憶を失っているんです!何も覚えてないんですよ!!」

ラハール「刑法第13条によりそれは認められません。もう術式を解いていいぞ。」

ウェ「で、でも!」

ジェ「いいんだ……抵抗する気はない。」

貴「………。」

ジェ「君のことは最後まで思い出せなかった。本当にすまないウェンディ。」

シャ「このコは昔あんたに助けられたんだって。」

ジェ「そうか……誰かを助けたことがあったのは嬉しいことだ。」

ジェ「エルザ。いろいろありがとう。」

エ「………。」

ジェ「ユイもありがとう。オレはお前にお兄ちゃんらしいことができなかった。……ごめん。」



なんで別れの言葉を?もう会えないだなんて……イヤだ。

止めないと……いま止めないとお兄ちゃんが行っちゃう。また暗闇の中へ……もう二度と手の届かない場所へ。せっかく兄妹に戻れそうなのに!これからの未来が見えそうだったのに!

……それに私はまだ、お兄ちゃんに優しさを返せていない!!



ラハール「他に言うことはないか?死刑か無期懲役はほぼ確定だ。二度と誰かと会う事はできんぞ。」



行かせたくない……行かせない!



ナ「行かせるかぁっ!!」

貴「!」

ナ「そいつは仲間だぁ!!連れて帰るんだー!!」



ナツのパンチを契機に私とエル姉以外のみんなが評議員に抵抗を始める……っ、我慢してたのに!



ナ「来いジェラール!おまえはユイとエルザから離れちゃいけねぇっ!!ずっと側にいるんだ!!ユイとエルザの為に!!だから来い!!」

ナ「オレたちがついてる!!仲間だろ!!」



ナツっ…仲…間………。



ラハール「全員捕えろ!公務執行妨害及び逃亡幇助だー!!」

ナ「ジェラール!!」



だからっ……そうだ。私達は仲間だから!



貴「もういい!!そこまでっ!!」



言わなきゃ続きを……お兄ちゃん…ジェラールを連れて…



エ「騒がしてすまない。責任は私がとる。……ジェラールを連れて行け。」

ナ「ユイ!!エルザ!!」



……ありがとう、代わりに怒ってくれて。



ジェ「……ユイは生きろ。それと戦うだけの強さはすでに持っているはずだ。」

貴「!」



最後まで自分よりも妹の心配するなんて……っ、ほんっと優しすぎる兄貴だ。



ジェ「そうだ……おまえの髪の色だった。さよなら、エルザ。」

エ「ああ。」



その言葉を最後にジェラールの後ろ姿は見えなくなった。

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作者名:刹那 | 作成日時:2020年3月30日 8時

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