69.皮肉な運命 ページ9
あたりは妖しくキラキラとしている。すごいな。建物自体がクリスタルっぽい何かでできていてとても強い力を感じる。それを一歩ずつ踏みしめて、階段を上る。
この先に、いるかもしれない。敵として。その時に私は戦えるのか?
階段を登りきると重厚な扉が見えた。私はそれを思いっきり開け放つ。
?「やはりお前が最初か。……ずっと待ってた。」
整った顔立ちで印象的な紋様を顔に持つ。フードを被った青年は怪しげに笑う。………この人、やっぱり。
貴「………。」
ジェラール「オレはジェラール。ジェラール・フェルナンデス。……お前がお兄ちゃんと呼ぶ男だ。」
やっぱり。嫌な予感は当たる。ここにいるということは……エル姉を苦しめたジェラールが
キミはジェラール・フェルナンデス。
私ことユイ・フェルナンデスの実兄。同じ星の元に少しだけ早く生まれた人。
貴「……久しぶりだね。」
ジェラール「12年か。小さかったお前が大きくなったのも頷ける。」
貴「そっちこそ。……大分変わったみたいだね。」
ジェラール「久しぶりに再会したというのに冷たいな、ユイは。お兄ちゃんは妹と再会できて嬉しいのになぁ。」
貴「焦らさないで!……キミなら私が言いたいことくらいわかってると思うけど?」
ジェラール「ああ、そこまで鈍感なつもりはない。……いいだろう、戦ってやる。」
お互いに拳を構える。長いこと会ってなかったのに構えが一緒なんて……運命は皮肉だ。
なんでこうなっちゃったのか。何がキミを……お兄ちゃんを変えたのかな?
記憶の中のお兄ちゃんはとても優しくて体の弱い私をいつも心配してた。
風邪で寝込んでるときはそばで手を握ってくれた。私が眠るまで。
珍しく体調のいい日はこっそり外へ連れ出してくれた。いつも驚くほど綺麗で色鮮やかな景色を教えてくれる。
……大好きだった。
だから、本当は戦いたくないよ。お兄ちゃん。
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刹那(プロフ) - 感想ありがとうございます!更新がかなりゆっくりになってしまいますが精一杯頑張ります! (2018年12月15日 15時) (レス) id: eeb9f84870 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - はじめまして!とても面白かったので大変だと思いますが頑張ってください!続き待ってます(*´-`) (2018年12月9日 22時) (レス) id: f430c0199a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2018年10月8日 10時