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99.それは竜を滅し、魅了する魔法 ページ41

桜刹を投げた次の瞬間、雷が迫ってくる。軌道は逸れずに真っ直ぐに雷撃が牙を剥く。



フリード「やめろ!ラクサス!」



やっぱりダメか。桜刹を避雷針にするのは。目を閉じる。



ガ「うおおおおっ!!がぁっ!!」



しかし、そこには痛みがなかった。ゆっくり目を開く。



貴「!2回も……ガジル。」

ガ「行け。」



その一言で何度も立ち上がる。仲間の声に応える。家族を傷つけられて黙っていられない。

……歯を食いしばって受け止めろ、ラクサス。



貴「樹竜の鉄拳!!」

ラ「がはっ。」

貴「樹竜の咆哮!!」

ラ「…っ。」

貴「その魔法。竜を滅し、竜を魅了し、瞬く間に竜の肝を切り裂く嵐…」

フリード「これは!?まさか滅竜奥義……なんという魔力。」

貴「桜嵐斂破斬(おうらんれんはざん)!!!!!」



全身全霊の魔力を込めたそれは桜吹雪よりも荒々しく嵐のように舞い踊り、花弁は鋭利な刃となって高速で切り裂く。

倒れた音をきっかけに、戦いは終わりを告げた。









ラ「ギルドって知ってるか。」



少し離れたところに座った幼いキミがはじめて口を開いた。心地の良い風が通り過ぎる。突然のことで驚いた。



貴「ギルド?」

ラ「仕事の仲介所だ。いくつかあるんだが、その中でもオレは妖精の尻尾(フェアリーテイル)ってところにいる。」



妖精の尻尾。変な名前。でも、知らないはずなのに懐かしさを感じる。



ラ「血が繋がってないのに実の家族のように接してくる。酒くさいし、うぜえけど。意外といいもんだぜ、ギルド。」



家族。当時の私はそんなものなかった。
村を焼かれ、両親を殺され、餓狼騎士団というところに引き取られた。しばらくして私はお役御免となり、おじいちゃんと名乗る人に引き取られた。

だから不思議な話だった。赤の他人が家族って。



ラ「オレはラクサス・ドレアー。おまえは?」

貴「ユイ。ユイ・フェルナンデス。」

ラ「ユイ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に来ないか?」



ラクサスに出会ったから妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいる。背中を押してくれたのも、最初に手を差し伸べてくれたのもラクサスだった。

だから、ラクサスがラクサスを肯定できないのなら私がかわりに肯定する。今度は私がラクサスに手を差し伸べる番だから。

100.約束だよ→←98.雷のココロ



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刹那(プロフ) - 感想ありがとうございます!更新がかなりゆっくりになってしまいますが精一杯頑張ります! (2018年12月15日 15時) (レス) id: eeb9f84870 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - はじめまして!とても面白かったので大変だと思いますが頑張ってください!続き待ってます(*´-`) (2018年12月9日 22時) (レス) id: f430c0199a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2018年10月8日 10時

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