赤司 Can I have you？ 「…私もあなたがほしいです！」

32、自分の人生を ページ37

【赤司said】




黛さんは近くのゴミ箱に中身の入ったタバコ箱を捨てる。



赤「……緊張してますか？中身入ってましたけど？」



黛「は？…ちげえよ」



首後ろを触りながら、あーっと言いづらそうにする。



黛「…これを最期の一本にするつもりだったんだよ。

ちょうどいいからお前証人な？

あいつ、今声の仕事してっから、ちょっとでも邪魔する可能性のあるやつはやめようと思ってな…」





…なんだ。


やっぱりそのつもりなんじゃないですか？




彼の白い紙袋の中身をチラ見して、フッと笑う。








ーーーーーー貴「……おーい、せいくーん」



すると遠くから、声が聞こえてきて振り向く。

そこには走ってくるAの姿が。





黛「ん？もしかして…」



赤「ああ、俺の妻です。紹介しますね？」



黛「…いや、いい。もう時間だわ」



そういうと、黛さんは最後に吸っていたタバコを携帯灰皿にしまい出した。




赤「…そうですか」



黛「まあ、元気で。お幸せに」



赤「はい…黛さんも、お元気で」




相変わらずあっさりした最後で、拍子抜けする。

きっともう会う事はないんだろうか…




そんな風に考えていたら、ふいに頭をぐしゃっと撫でられた。

驚いてフッと顔を上げると、腕の影に隠れた黛さんの口角が上がったように見えた。




黛「…じゃあな」




そう言って、彼は去っていった。







貴「ーーーーーあれ？さっきの人、知り合い？」



やっと着いたAの声にハッとした。



赤「…うん。まあね」



貴「ヘェ〜偶然だね？

征くん、神奈川で涼太や私たち以外の知り合いがいたんだー」



そういうAはふふっと笑ってオレを見た。



貴「とても仲がいい人だったの？」



赤「え…？」



貴「だって征くんが頭を撫でられるなんて、初めて見たもん！

あと、その時なんだか凄く嬉しそうな気がしたから」



赤「え、嬉しそう？」



貴「うん、ーーーーまるで兄弟みたいだったよ」








、








、









黛「ーーほんっと、2度と会わねえと思ったやつに出会したな〜」





ポカンとした赤司の顔を思い出してフッと笑う。


紙袋に入った花束を取り出した。







黛「…あいつも通った道…か。






…まあ、いっそダサい男になってくるかーー！」




大きく伸びをする。








乙女ゲームでもラノベでもなく、自分の人生だ。




きっと運命は自分の心の中で、全て決まっているものだから。




【黛said】

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