今日のお悩み「滑舌」 ページ6
なずな「らから!きゃちゅじぇつ!治したいんら!!」
『はいはいどうどう。何を治したいの?』
なずな「か!つ!ぜ!つ!」
『なるほど。』
なずな「やっと通じた…」
目の前の机に手を置いて、ほっと胸を撫で下ろした彼は、Ra*bitsのリーダー、仁兎なずなくん。
彼はどうやら、自身の滑舌の悪さをどうにかしたくて相談しに来たようだ。
なずな「で。どうやったら先生は治ると思う?」
『ん〜…そうだな、早口言葉とか言ってたら良くなるかも…?』
なずな「おれ、一ミリも言えないんだけど…」
『えー…っと…じゃあ、あえいうえおあおって言うのやれば…?発声練習。』
なずな「わ、分かった。やってみるな?
あ、え、い、う、え、お、あ、お
か、け、き、く、け、こ、か、こ……」
仁兎くんは、素直に私が言った発声練習を始めた。
終わった後に首を傾げる彼。
「これ効果あんのかな…」
と、失礼なことを一言ぽつり。
失礼な。効果は実証済みです!((
『ね、仁兎くん。』
なずな「ん?なんだ?」
『滑舌良くなるの、君に必要?』
なずな「?!必要らろ?!今も噛んだし!やっぱり、おれもアイドルだから…」
彼はうつむきながら、「少しでもいいアイドルになりたいんだ…」
消え入りそうな声。
小さな彼がさらに小さく見えた。
『……いいアイドルってさ、誰が決めるのかな。』
なずな「へ?」
私のその声に、仁兎くんは勢いよく顔をあげた。
泣きそうな、今にも涙が零れそうな、何かをグッと堪えているような…
そんな顔。
『その人がいいアイドルかどうかは、私たちみたいな一般人が決める。
私たちは、いいアイドルのことが好きになって、応援して、ファンになる。』
なずな「…ぁ」
『仁兎くんには、沢山のファンがいる。その人たちは、君のことをちゃんと見てるよ。
君のことをちゃんと認めてる。
滑舌が少し悪くて、舌ったらずなのがまたいいんじゃないかなぁ。
…無理に直そうとしなくてもいいんじゃない?
それが、君だから。』
なずな「せんせ…」
『少なくとも私は、どんな仁兎くんでも嫌いにならない。ずっと、好きでいるよ。』
そう言って、私は、自分よりも少しだけ高い位置にある彼の頭を撫でた。
最初こそ恥ずかしそうにするけれど、だんだんと、彼の顔にいつもの笑顔が戻っていく。
『……焦らなくても、みんな傍にいるよ。』
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夜透田 流(プロフ) - しゃけさん» ご指摘ありがとうございます。 (2020年11月1日 17時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - おそらく、蓮見ではなく蓮巳だと思います。 (2020年11月1日 17時) (レス) id: 739f78e142 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - 零さんの下僕さん» わぁぁ、ありがとうございます!!更新頑張りますね!もし読みたいお話とかあったら是非リクエストしてください〜 (2020年3月1日 11時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
零さんの下僕 - 最高でした!目次のとこ見て結構あるからちょこちょこ読もう〜とか思ってたのに、その日中に読み切っちゃいました。続き、楽しみに待ってます! (2020年3月1日 0時) (レス) id: 61b8c4ad42 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - Evaさん» ありがとうございます!やっとこさ受験が終わったので少しずつ更新していきますね! (2019年10月12日 21時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜透田 流 | 作成日時:2018年2月23日 10時