今日の相談「伝わる言葉」 ページ15
『神崎くんはどうしたいの？』
颯馬「…え？」
『…あのね、神崎くん。言葉っていうのは、とても大事なものなんだよ。』
形のいい眉を下げ、不安げな色を浮かべた彼の瞳を見つめ、私は慎重に言葉を紡ぐ。
『当たり前だけど、言葉が無いと自分の気持ちは何も伝わらないの。声に出すのでも、文字に起こすのでも、メロディに乗せるのでも…全て、言葉が、音が無いと伝わらないの。…もちろん、絵だとかダンスだとか…他にも伝える術は沢山ある。だけどね、言葉が一番伝わるの。』
颯馬「言葉、が…」
『そう。言葉にしないと、何も伝わらない。自分の色に染った音で、貴方だけの音で、伝えて。』
一体全体、ここまで話が下手くそなカウンセラーが私以外に何処にいるだろうか。自分でも呆れるほどに話が纏まっていない気もしたが、彼は何かを感じとったのだろう、瞳に静かな闘志を燃やしている。
膝の上で、彼の拳に力が込められた。
颯馬「…なるほど。やはり、A殿は優秀であせられた！」
『おぉ、急に元気になったね。』
颯馬「ふっふっふ…これも、一重にA殿のお陰であるな！我は、もう迷ったりなどせぬぞ。」
年相応に笑顔を見せた彼に、もう迷いの影は見えない。自身の中で決心が着いたのだろう。
おもむろに立ち上がった彼は、腰に帯刀したそれにそっと手を翳し、「それでは、"らいぶ"を行ってくる！」と元気よく告げた。…ライブ？
『ちょっと待って。ライブ前だったの？！！ちょ、神崎くん意外とおバカでしょ？！！早く行って！！』
颯馬「む！馬鹿とは失礼な！それと、我のことは颯馬と呼んで欲しい！」
『分かった分かった！！颯馬くんね！分かったから、早く行きな！！衣装にも着替えなきゃでしょ！！』
少し大きめに声を出して笑った颯馬くん。
彼は相談室から出る直前、その艶やかな髪を靡かせて振り返った。
颯馬「我の色に染まりし言葉、伝えて参る。A先生！」
そう言って笑う彼の笑顔は、その時、世界中の誰よりも輝いていたと思う。
『…早く伝えておいで、颯馬くん。』
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夜透田 流(プロフ) - 勿忘草色の蜜蜂さん» ありがとうございます！HiMERUくんキャラを掴みきれてなかった自覚があったので、そう感じて頂けて嬉しいです！ (2022年4月14日 20時) (
レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草色の蜜蜂 - ひめる様ぁ…！すっごくよかったです！作者様ありがとうございます！ (2022年4月13日 20時) (レス) @page12 id: e814718385 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - moekaさん» コメントありがとうございます。現在作者の多忙につき、なかなか更新が出来ない状態となってしまい、今に至ります。本当に少しづつですが、下書きを進めていますので気長にお待ち頂けると幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月18日 15時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2021年10月13日 3時) (レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - しいなさん» コメントありがとうございます！コロナ禍ということもあり、大学生活が忙しく中々時間が取れず更新を止めておりました…少しずつでも進めていきますので、これからもよろしくお願いします！ (2021年4月29日 22時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜透田 流 | 作成日時：2020年3月23日 14時
