続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２２ 】

ラボ７２の可能性 ページ9

☆☆ 裕太・side ☆☆

穏やかなガヤの顔。


Aちゃんが目覚め、心が安定している証拠。


この笑顔なら大丈夫そうだな。


「でも、３時間だぜ？どうする？」
あれから作戦会議が続いていた。


なのにガヤは、何も言わない…

寝ながら黙って聞いているだけ。

でも、笑顔なのが気になる…


「まずはさ、さっきも話したようにAPDのデータをもう一度検証する」
渉が噛まずに言った。

「確かにAPDは、この機体には不可欠な物だと俺は思う。でも検証データが乏しくね？」
ニカが真面目に言った。

「だからだよ、乏しいからこそ… 」
この２人って…


本当は能ある鷹は的なやつじゃないか？


「APDですか… アレはまだまだ可能性ありますからね」
横にいる衣笠教授が笑いだした。

「あの、APDってなんですか？」
こっそり聞いた。


教授が手帳を出した。

サラサラと書きだす単語。


『 Advanced Pultrusion 』


「つまり… 日本語だとね… 」
また 書き出し始めた。


『 炭素繊維複合材 』


「なんだか… 難しい素材なんですね… 」
さっぱりわからない…

「そうですか？結構有名なんですけどね」
そ…


そうなんだ…


「ダメだ… まったくそっち系はわかんないです」
撃沈… 俺…

「あははは、専攻じゃない限りわかりませんよ、こんなことは」
だよな…

「でも、この素材に目を付けたのは この論議している２人」
え…


教授が嬉しそうに目を細めた。


「藤ヶ谷君と思ったでしょう？でも、違うんですよ」

「二階堂君と横尾君がいたから 成り立ったプロジェクトなんです」


そうなんだ…


「藤ヶ谷君ばかりが表に出てますが、実は３人で一つ… いえ、違いますね」
？？


「ココにはいない… ラボ７２の… 」

「遅れました！すみません！」


え…


「おや、来ましたね」
涼介… 北斗…

「彼らもそう… 橋野さんもそう、秋元さんも河原さんもいたから出来たプロジェクトなんですよ」
そうなんだ…


だから…


ガヤは何も言わず聴いてるだけなんだ。


皆の可能性をわかってるんだね…


「お前ら、APDのデータもう一度 出来るか？それも過去と現在、最新のも含めたものを」


渉の鋭い目…


「出来ます」


涼介の即返。頷くニカ。


でも、黙ったままの北斗…



「北斗は？」



シーン…



「誰に言ってるんっすか？」



かぁ〜… コイツ、生意気…



「３日以内に出します」


そう言うと 北斗と涼介は勇んで病室を出て行った。

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