続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２２ 】

点滴の腕 ページ37

会いたい…



話したい…




パサッ…



ゆっくり足を下に伸ばす。



ペタッ…



「冷た… 」
冷房で冷えた床は冷たかった。


ゆっくりスリッパを履き 手すりに掴り ドアを開けた。

静かな廊下…


「太輔… 」
また追い出されるかもしれないけど…


会いたいの…


「泣かない… 」
ちゃんと話すの。


込み上げてくる涙を抑え、前を向いた。


コンコン…


…


コンコン…


…


怒ってるんだ…


「あら？芦田さん？」
あ…

「藤ヶ谷君なら点滴中よ」
点滴…

「そろそろ眠くなってるかもね」
そうだ…


早にぃが言ってた…

睡眠剤だって…


「でも、まだ入れたばかりだからウトウトしてるかも」
ウトウト…

「覗いて見たら？寝たら残念だけどね」
看護師さんはナースステーションに戻って行った。


もう一度ノックした。

反応なし…


「寝顔だけでも… 」
会いたい…

「… 失礼します」
ドアを開けた。


シーン… とした病室内。


「すぅ… すぅ… 」
やっぱり 寝てる…


目を瞑り横になっていた。

そっと側に行った。


「すごく… 痩せてる」
改めて点滴をしている腕を見た。


傷つき、痛々しい体…

点滴をしている左手… 人さし指を握った。

あたたかい太輔の手。


「もう… 痛くない？」
手を頬に寄せた。

「痛いよね… ごめんね… 」
また涙が出てくる…


私がこんな姿にしてしまった…


「ごめん… 太輔… っく… 」
ごめんね…


「痛くありませんように… 」

「早く治りますように… 」


祈るように願った。


太輔の想い…


『フランスに行け』


本当に心から想ってるの？

行ってもいいの？


「私ね… 行ってみたい… でも… 」

「怖いの… わかってても… 」


信じられないの… 許してないから…

私がいなくなったら…


「失うんじゃないかって… 大切だから… っく… 」
誰より大切な人だから…


ぎゅ…



え…



人さし指が離され、大きな手が私の手を包んだ。


「太… 」

「いいん… だよ… 行っ… て… 大丈夫だよ」


！！！


「たくさん… たくさん… 学んで… 」


太輔…


「… 太輔… 私ね… 」

「私… 」


…


「太輔？」


パタッ…


手の力が抜け… パタリとベットに落ちた。


「すぅ〜… すぅ〜… 」


太輔は、お薬が効いたのか そのまま寝てしまった。


私は、その寝顔をしばらく眺めた。


そして静かに立ち上がり自分の病室に戻った。

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