続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２２ 】

早瀬と久利生 ページ17

■■ 一樹・side ■■

バチン☆！！… と、鈍く聴こえた音。


次の瞬間、三ツ星がおでこを押さえ蹲った。


どうやら…


「大袈裟な… ただのデコピンだろうが」
デコピンは痛いつーの… 可哀相な奴。

「いつまでも引きずってんじゃねぇよ、グチグチと！！」
よほど痛かったのか涙目で早瀬を見つめている三ツ星。

「わざわざ、タクシー料金払ってまで待ってて損した！そんなグチグチ君のメソメソを聴くためなんかに！！マジ呆れるわ！！」
グチグチ君のメソメソ…

「帰る！！」
あ…


やば…


ガシッ！！


「うおぉ！？」
やった…


バタッと倒れた早瀬。


倒れた訳… それは…

三ツ星が早瀬の足を掴んだから。


「何しやがる！！いてぇだろうが！！」
なんかコイツラ…


傍から見ると…

別れ話をしている奴らのように見える…

例えば…


『いや、捨てないで！！早瀬君！！』

『離せ！もうお前に飽きたんだよ！！』


などと 勝手なアフレコを付けたくなる。


「一樹、面白がってんだろ？」
ん？

「ニヤニヤし過ぎ」
みつが笑った。


だって面白いだもん♪


「でも、そろそろ助け舟したら？久利生さんも このままじゃフランス帰れないよ」
ん〜… だな。

「しゃーねーなー… 」
皆で２人の元へ。


ブリブリ怒る早瀬の後頭部をパコン。

今度は俺を睨む早瀬。


「いい加減にしろ… 」

「お前の方がグチグチだぞ」


黙った早瀬。


「早瀬… 俺… 」

「別に俺、もう何とも思ってない」


シーン…


「お前は、俺らのこと傷つけたって考えてるけど そうじゃない」

「お前がしたことは、２人の為に… 俺たちの為に良かったんだ」


シーン…


「でも… 」

「確かにさ… 苦しくてツラかった。でも、それは強くなるための試練だったんだ」


試練…


「そのことによって それぞれ… 各々の絆がより強くなった」
俺も思う…


絆は強くなった… と。


「だから、俺は、もう何とも思ってない」

「なのにお前は、グチグチと！！ウザいつーの！！」


怒りがぶり返したぞ…


「まったく… 三ツ星シェフが呆れる」

「誰が推薦したんだか… 審査員の顔が見たいわ」


おいおい… 言い過ぎじゃね？


「でも、… 俺 お前の味好きだよ」

「真っ直ぐな味。さすが竜おじさんの弟子だな」


早瀬…


「毎日 美味かった」



シーン…



「感謝する… ありがと、久利生。いてくれて良かった」



早瀬は にっこり笑った。

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