REWIND DAYSｰ夏の悲劇は終わらないｰ (ページ5)

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past days #5 -___side ページ5

…

ここは、どこだろう
……僕は、誰？

なにか、生暖かくて、サラサラしたものに包まれてる感覚

…感覚？初めてだ。

｢…おぉ、自我が目覚めたみたいだな｣

コエ？声？聞こえる……
自我、この、意識のこと？

…！苦しい！

『ガボッ！！ガホッゲホッ！！！』

生暖かいものからもがき這い出る

…これは、なんだろう
自分の思うように動く……

この思うように動く体に引っ付いたペラペラとしたものがまとわりついて気持ち悪い

｢…目覚めたか“動かす蛇”…宿り主に適合せず宿り主の自我が消滅し自身だけ体を手に入れるとは……｣

目の前の……生き物はブツブツと何かを言っている…この、鳴き声は、わかる気がする
なんでだろう……

この、僕の通り動くのはカラダ……

«アルジ！ソイツハナリソコナイデスヨ！»

«カカワッテワイケマセン！»

｢……そうみたいだな、まぁ、アカシックレコードの守り位はできるだろう｣

あるじ？とよばれる生き物は踵をかえしスタスタとどこかに行ってしまった

なりそこない……ってなんだろう
僕のことかな

動かす蛇は僕の名前？
分からない

『……ぃあ……？』

僕からも鳴き声が漏れる

なにか、言わなければいけない言葉がある
口が勝手に動く

『……ぃ、ょ……いでよ、世界の記憶(ｱｶｼｯｸﾚｺｰﾄﾞ)』

突然真っ白な光に包まれる
いきなりの事で僕は視界を塞ぐ

ごうごうとした音から
キラキラと心地いいような音に徐々に変わっていく

落ち着いたかと思い目を開けると
景色の前に計り知れない情報が一気に僕の中にながれてくる

『……！？』

僕は、動かす蛇
生命の代わりになる蛇の出来損ない

ここは世界の記憶、アカシックレコードの空間
僕はここを守らなきゃいけない

存在する理由はただ一つ
世界の記憶の不具合を起こさないようにし、
守り続ける

どうやら世界の記憶は僕に僕自身を教えてくれたみたいだ

ぱっと周りを見渡すと果てしない高さの本棚がいくつもあり天井にはおおきなステンドグラスで人間界の空の星が描かれていた

ステンドグラスから漏れた光の下には赤いテーブルシーツが乗った机があり
誰もいないはずなのに羽ペンが勝手に動き赤い表紙の本に世界の記憶を淡々と綴っていた

机に近づくと赤い表紙の本とは別に
黒い表紙の本が目に入った

どうやらこれは世界の記憶ではないみたいだ

本の表紙には金の文字でこう書かれていた

『sinigami Record(シニガミレコード)……』