中原 中也 ___ヤンデレ ページ42
……今宵の月は陰がある。
空から落とされる光に比例して、地を這う影は濃くなる。
そして、今日みたいな夜は、辺りを漂う闇が質量を増して粘っこく纏わりついてくる。
この暗闇では、誰も自分を彩る緋色には気付けないだろう。
「……帰らねェと」
ずる、と随分重い音を響かせて黒外套を引きずり手繰り寄せ、磨かれた靴先を家路へと向ける。
あの寒い部屋ではもう灯りは付いているのだろうか。
冷え切った温もりがまだ起きていて、せめて食事は温かいといいのだが。
そこではたと立ち止まり、思い出す。
家に残してきたAは、自分が手ずから縛めてきたのだと。
「……はは」
薄い唇の隙間から密やかな笑いが零れ出す。
「そうだった……逃げねェように、暴れねェように、大事にしていたンだった……!」
嗚呼。
「俺の愛しきコマドリ。帰ったら存分に愛してやる……!」
凶暴な笑みを浮かべた口元が向かうのは左手の薬指に嵌めた華奢なデザインの指輪。
チュ、と軽い音を立てて口づけがされる。
「お前が愛おしくて愛おしくて堪らねェんだ」
「お前だって同じように愛を返してくれるだろう?」
**********
中也「星寄越せェ!!」
**********
因みに、この話、芥川龍之介のドSのつもりだったんですが、書いてる内にヤンデレ感ぱねぇと思いまして。
順番ガン無視ですが、お目をお瞑りくださいまし。
んー、ドSって難しい……細やかなドSの定義を教えてくださいませんか……
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青鯖ぷりん - 久ちゃぁぁん…高評価するぅぅ‥! (10月17日 21時) (レス) @page11 id: 496914e067 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - だざいさぁぁんさいこぉ! (10月8日 6時) (レス) @page5 id: dfae0f9c2a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかりん - フランシスさんすこ (9月15日 22時) (レス) @page23 id: 5c0b36b6f1 (このIDを非表示/違反報告)
猫助 - 最高です! (8月16日 23時) (レス) @page4 id: 0088b760fa (このIDを非表示/違反報告)
千羽鶴 - 梶井さーん!ドSなとこも好き!違うバージョン梶井さんも見たい (6月18日 23時) (レス) @page15 id: ecb3ef0346 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2016年4月8日 21時