夢野 久作 ページ11
「おはよう、Qちゃん」
僕の朝はこの声から始まる。
座敷牢の小窓が開き、白く細い手が盆に載った朝食を差し出してきた。
「ちゃんと食べるもの食べないと大きくならないからね。…………中也みたいになるよ」
クスリ。
小さく笑い声が聞こえた。
檻越しの笑顔。
全貌を明らかにせず、その魅力だけを所々伝えてくる。
その全てが見られるなら。
「そういえばQちゃん、此処から出られるかもって」
「どういうこと?」
思わず問うていた。
彼女はそのことに大して驚きもせず、
「探偵社と"組合"ってとこと戦争になってね?首領は手早く済ませたいそうだよ」
…………出られる。
…………遊べる!
無意識のうちに僕は大きな笑みを浮かべていた。
この退屈な日々からようやく抜け出すことができる。
「…………あ、おねーさん、寝癖ついてる」
「えーそんなぁー。急いでたから気付かなかった」
「僕が直してあげる」
鉄格子の隙間から手を伸ばし、おねーさんの髪に触れる。
細くて、柔らかくて、女の子の髪。
暫く指に絡めたりして弄ぶ。
「な、直った?」
「ん、いい感じ。最後に、呪いかけちゃう」
キス。
おねーさんの頭を優しく引き寄せ、鉄格子の間で唇を重ねる。
「今日一日、いいことだらけになる呪いだよ」
頬が赤くなっていくおねーさんに、笑顔を送る。
「子供だからって侮らないでね」
「これからも溺れるくらいにキスしてあげる」
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久作「高評価しちゃう呪いかけた!」
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青鯖ぷりん - 久ちゃぁぁん…高評価するぅぅ‥! (10月17日 21時) (レス) @page11 id: 496914e067 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - だざいさぁぁんさいこぉ! (10月8日 6時) (レス) @page5 id: dfae0f9c2a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかりん - フランシスさんすこ (9月15日 22時) (レス) @page23 id: 5c0b36b6f1 (このIDを非表示/違反報告)
猫助 - 最高です! (8月16日 23時) (レス) @page4 id: 0088b760fa (このIDを非表示/違反報告)
千羽鶴 - 梶井さーん!ドSなとこも好き!違うバージョン梶井さんも見たい (6月18日 23時) (レス) @page15 id: ecb3ef0346 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2016年4月8日 21時