【文スト】どういった経緯で私がこうなったのか

決意 ページ14

太宰さんが失踪した、というニュースは瞬く間に広まっていた。

森さんは内々だけに留めようとしていたみたいだけど、無駄足だったようで。

「新しい幹部は決めない」

「彼には何れ、此処に戻ってきてもらうからね」

本部の最上階で言われた言葉と、エリスちゃんの笑みが頭から離れない。

「……なんで」

なんで、また。

「私は失ってばかりだ……！」

両親も。

太宰さんも。

「私が、何をしたっていうの……！？誰がこんなふうに……！」

「強くなればいい」

コツ、と靴音を響かせて私の隣に並んだのは芥川さんだった。

相変わらず口元を押さえて悠然と佇む。

「強くなればあの人は認めてくれぬ。あの人の基準は強さだ」

「強さ……」

「その点で僕は貴様を認めてはおらぬ。何故太宰さんが気に入ったのかわからぬ」

芥川さんは、押し黙る私を一瞥すると、肩をすくめて去っていった。

……芥川さんの言う通りだ。私はあまりにも無力だ。

力があれば何も失わずに済む。

力があれば大手を振って欲しがることが出来る。


力があれば。


力があれば……。


「強く、ならなきゃ」

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