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帰宅 【太宰 治】 ページ12

入社試験。入社試験かぁ。

「聞いてないですよっ首領!!」

ポートマフィアの縄張りに程近いマンションの一室。

私は帰り着くと同時に鞄を振りかざして叫んだ。

……試験だなんて。もし落ちたら、送り出してくれた太宰さんや中原さんに顔向けできない。

靴も並べずにどかどかと上がる。

「しかも国木田さん不愛想だし、ってリビング明るい……」

電気つけっぱなしで出かけちゃったか。電気代、もったいないことしたな。

今日は微妙に悪い運勢だったようだ。

思わずため息が出る。

「ただいまー……」

「おかえり。随分遅かったねぇ」

「!?!?!?」

突然の声に驚いて鞄が私の手から滑り落ちた。

「な、なななんで、あなっ、あなたがっ……!?!?」

「やだなぁ。そんなに怯えないでよ、Aちゃん」

よ、と片手を上げて其処にいたのは、元上司の太宰さん。

「よ、じゃなくて、ていうか臭っ!酒臭っ!」

「Aちゃんの部屋に無かったから買ってきたの。飲む?」

「私は未成年ですっ!!」

うふふ。

いつものように笑うと、太宰さんはゴロンと寝ころんだ。

……相変わらず楽しそうだな、この人。

「というか、なんで私の部屋に」

「ん?此処、首領からの部屋でしょ?幹部権限で開けてもらったの」

……幹部様々かよ。

「それに、Aに会いたかったし」

ふふ、と柔らかい笑みを向けてきた。

咄嗟に言い返すことが出来ず、さっと目をそらしてしまう。

「まっ、またそんなこと言って……!」

「うふふ。素直に照れてくれるなぁ。中也並みに可愛いよ」

「それ、褒めてます?貶してます?」

褒めてる褒めてる。

笑顔を絶やさず、太宰さんはそう答えた。

「でも、中也には悪いことしたなぁ。もちろんAちゃんにも」

「ん?また何かやらかしたんですか?」

「またって酷いなぁ」

麦酒缶を一気に煽り、ゴロンと寝転ばれる。

「ね、Aちゃんも隣来てよ」

腕枕するからさ、と楽しそうに言われては、部下としては断れない。

散らかった缶やおつまみの袋を粗方片付け、渋々といった様子で寝転ぶ。

「ずいぶん掃除してないから汚いですよ?」

「全然気にならないよ。Aちゃんが綺麗だもの」

……矢っ張り今日の太宰さんは変だ。

目がトロンとしていて、顔が赤くて、

「あ、太宰さん酔って」

続きの言葉は音にならなかった。

温かい太宰さんの唇が、私の唇に重なったから。

熱が私を包み込み、ゆっくりと蹂躙する。

……キス?

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ワンコンコン - 面白いダス (2019年7月21日 0時) (レス) id: ad92a05ced (このIDを非表示/違反報告)
きみぺ - すごく面白いです!!!更新頑張って下さい!!!めっちゃ応援してます(≧∇≦) (2016年8月8日 21時) (レス) id: f3497d4bfc (このIDを非表示/違反報告)
うちを - 太宰さん!太宰さんお願い致します!何とぞよろしくお願い申し上げますっ! (2016年6月12日 22時) (レス) id: 67f1d4205b (このIDを非表示/違反報告)
久田 螺々亜(プロフ) - 真衣さん» コメントありがとうございます。わ、わかりました……!ご期待を沿えるよう努力致します! (2016年6月1日 23時) (レス) id: a7a03e9879 (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 中也オチを頼みます。 (2016年6月1日 20時) (レス) id: f1da17ec5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2015年6月27日 21時

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