鶴が五十六人 ページ8
「一体、どうなっている…？」
三日月の呟きが聞こえ、私は振り返った
『なんか分からないけど、遡行軍じゃなく、刀剣男士に見えたの
だから折るのは待って欲しかったんだ』
そう三日月に微笑んだ
三日月は私の頭を優しく撫でてくれた
「助けてもらって悪いが、あんた達に頼みがある」
薬研が私の前に来てそういった
ほかの短刀達も薬研の隣に来た
「俺っちたちをこんな姿にしたのは俺っち達の大将なんだ
初対面のやつに言うのもなんだけど、大将を助けてくれっ！」
そう薬研に勢いよく頭を下げられた
この人たちの大将、恐らく刀澤姫華さんの事だろう
「それで、もう一つお願いがあるんだけど…
聞いてくれる？」
薬研の隣からひょこっと乱が顔を出した
「ボク達を解刀して欲しいんだ！」
笑顔でいう意味がわからない
解刀って、殺してって言ってるようなものじゃない
私にはそんなことできないよ
『何があったのか、聞いてもいい？』
短刀達は顔を合わせ、ポツリポツリと話し出した
「実は10年以上前なんだけどな
主が大切にしていた近侍、燭台切が折れちまったんだ」
「それで、一緒に出陣していて、隊長だった鶴丸さんを主君は責めて、単騎出陣さたのです」
「そうしたら、今度は鶴丸が行方不明になっちゃって、ボク達を遡行軍に変える呪詛をかけたんだ」
「んで、気づいたら本丸は荒れ果て、ほかの刀剣も遡行軍に落ちちまったって話だ」
なんとなく分かった
でも、許せるか許せないかって言ったら別の問題
『あなた達は、解刀で本当にいいの？』
目の前の6振り、1人1人の顔を見て聞くとみんなはすぐに頷いた
「もう、楽になりてぇんだ」
疲れきった顔で薬研が呟いた
その表情が私にとって悲しくて、悔しくて
最後のお願いは叶えてあげようと思って一斉にみんなを解刀した
“ありがとう”
光になった途端、そう聞こえた気がした
悲しいな、これが刀剣を解刀するということなんだね
「大丈夫か？」
三日月の問いに、私は涙をグッとふき顔を上げて頷く
もう、こんな思いをする悲しい刀剣を生み出してはいけない
『おじい、絶対に鶴丸を連れ戻すよ』
「あいわかった、じじいとはいえ給料分は働くさ」
私達は刀澤さんが向かったと思われる部屋に走り出した
鶴丸、あなたは絶対私たちが連れて帰るから
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夷空斗(プロフ) - 蒼い薔薇さん» コメントありがとうございます！なんとか完結させることが出来ました！この話を読んでいただきありがとうございます！！ (2018年9月29日 19時) (
レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
蒼い薔薇(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の展開には、ウルっと涙腺が緩んでしまいました！この小説を読んで鶴丸がもっっと好きになってしまいました。本当に最高の作品でした。 (2018年9月29日 0時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 私もいつもコメントを返していただけて嬉しいです！コメントを通して作品の励みにしていただけて、お話できて良かったです！次作を書かれるのならばすごく楽しみです！こちらこそこの作品に出会わせていただいてありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
夷空斗(プロフ) - 紗衣さん» 紗衣さん、いつもコメントありがとうございます！本当に励まされました！素晴らしい作品と言っていただき、本当に嬉しいです！！最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 毎日この話を読むためにこのサイトを開いて更新を楽しみにしていました。完結したのだと知って涙が止まりません…本当に素晴らしい作品でした…。夢主ちゃんと鶴丸が向こうの世界で幸せになってくれればと思います。完結おめでとうございます！この作品が大好きです！！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夷空斗 | 作成日時：2018年9月2日 0時
