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そんな訳で、銀時はもちろん断ることが出来るわけがなく、
(俺の拒否権どこ行った？？)
と思いつつもちゃんとAに言われた通りに彼らの意識を一瞬だけでもそらしたのだ。
突如現れた坂田銀時に、腹が立っていた土方は何時も通りに言い合いを始め、近藤は困ってしまった。
このままじゃ市民にも被害が出かねないと思うほどに彼らはヒートアップしている。
どうしようかな、と頭を悩ませていると、「あ！」と沖田は声を上げた。
言い合っていた銀時と土方、そして近藤も沖田の方を向く。
「やられやした」
沖田は悔しそうに言った。
「Aさんを見失っちまった」
そよ風が吹き抜ける静寂な寺。
そこに道が整備され、数多くの墓が立っている。
Aは二人分の仏花を持って墓地にいた。
Aはゆっくりと歩いてあるお墓の前で止まる。
“笹山家之墓”
そのお墓には、線香が3本立ち、薄く煙が広がっていた。
(黒島……だな。)
Aは仏花を備え、少しだけ笑った。
「よォ、ひさしぶりだな笹山。１年ぶりか？」
線香に火をつけることも手を合わせることもなく、Aはただ墓を見て話し掛ける。
「真選組に異動して2年。こっちは何とかやってるよ。」
「しかも最近、幼なじみと再会したんだ。
みんなバラバラの道だ、私は幕府側だから複雑な立場だな…。」
Aは三人の幼なじみをそれぞれ思い浮かべながら話す。
一年ぶりに訪ねた同期の墓は、記憶にあったものよりも冷たく見えた。
二年前までは三人で、一年前は二人で来ていた墓も今年は一人。
(黒島は一足早かったようだな。いつも命日は一緒に行くのに、事件がたて込んでんのか？)
「そういえば黒島がお前を殺したヤツを逮捕したらしいぜ。」
一通り言おうと思っていたことを言い終わり、暫く沈黙がAを包む。
丘からは憎らしいほど綺麗な夕焼けが見えて、辺りを赤く照らしていた。
Aは徐ろに片手に持っていたもう一つの仏花を笹山の墓に供えた。
「笹山、どうやら私は……まだアイツの墓に参れないらしい……。」
Aは泣きそうな顔で微笑んだ。
(アイツは私を責めないって……分かっている筈なのにな)
(これは私なりの、ケジメだ。)
「悪ぃんだけどさ、今年も二人分……貰ってくれ。」
Aはくるりと踵を返す。
いつの間にか、太陽は半分以上沈んで夜がそこまで訪れていた。
Aの着物からは、染み付いた線香のにおいが香った。
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通行人N(プロフ) - 謬見さん» コメントありがとうございます(_ _;)毎週土曜日更新の予定です。Twitterで更新したらお知らせしていますので、ぜひそちらも✨これからも頑張りますのでまた感想をお聞かせ下さいね！ (2022年11月20日 16時) (
レス) @page17 id: 39adec4ff4 (このIDを非表示/違反報告)
謬見(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました(*´꒳`*)更新待ってます！！ (2022年11月19日 21時) (レス) id: 9ecb800a6a (このIDを非表示/違反報告)
通行人N(プロフ) - 鬼魂さん» コメントありがとうございます(_ _;)そう言っていただけてとても嬉しいです✨これからも更新頑張りますので宜しくお願いします。 (2022年11月14日 15時) (レス) id: 39adec4ff4 (このIDを非表示/違反報告)
鬼魂 - とても面白いです！更新頑張って下さいｯ!楽しみに待ってます！！ (2022年11月13日 16時) (レス) id: ce3cc772d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：通行人N | 作成日時：2022年10月1日 10時
