ページ20
「銀時、A…。
お前らも覚えているかコイツを」
その手には、切られて返り血が付着してボロボロになった＿＿＿＿＿松下村塾の、教科書。
まだそんなモン持ってやがったのか。
アレは、どうしたっけ。
確か、
「「ああ」」
私は遠くを見つめた。
高杉の船は遥か遠くで、まるで心の距離を表しているようで。
沈む船の残骸は、先程の戦いの激しさを主張していた。
それを空からぼんやりと眺めて、酷く虚しくなった。
何でこうなったんだっけ。
何処で私達は＿＿＿＿＿
「ラーメンこぼして捨てた」
「多分女の子にあげた気がする」
そういえば、色々流したけど私、高杉に告白されたんだっけ…。
思い出した途端に冷めていた熱が蘇り、一気に顔が赤くなる。
「おいA、何でそんなに顔が赤い。風邪か？」
「バッカ顔近づけんじゃねー！！」
「ゔ！絞まってる絞まってる！首絞まってるから！！」
大空に桂の絶叫が響いた。
荒れ果てた鬼兵隊の船の上、河上万斉は先程の天人との戦いを思い出していた。
白夜叉・坂田銀時、狂乱の貴公子・桂小太郎。
＿＿＿＿＿そして、芹沢A。
彼女の天人を斬る動きは鬼気迫るものだった。
小柄なその体躯を活かし、人間離れした大胆かつ隙のない動きとその剣技のスピード。
誰にも真似できないであろう予測のつかないその動きと速さで、必ず相手の弱点をついていた。
『暗殺剣』
そう呼ばれているものに似てはいるが、全くと言って非なるもの。
暗殺剣のように一瞬で相手の急所をつくが、暗殺剣よりももっと無茶苦茶な＿＿＿＿＿人間のできる限界に挑戦したような＿＿＿＿＿それでいて舞のような、絶妙な剣。
彼女だけの剣。
これまでも、そしてこれからも彼女以外にその剣を使う人はそういないだろう。
あれはちょっとやそっとでできるものではない。
故に河上万斉は不思議であった。彼女の正体が、酷く気になった。
幼馴染だとは聞いていたが、同じ戦場で闘った友では無い、そんな隠し事に満ちた彼女の正体は＿＿＿＿＿
「晋助。彼女は何者でござるか」
思わず聞いてしまった万斉に、高杉はニヤリと笑って答える。
「奴ァ昔っから強かった。何処でその技を習得したのかは知らねーがな。」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 350人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
通行人N(プロフ) - 謬見さん» コメントありがとうございます(_ _;)毎週土曜日更新の予定です。Twitterで更新したらお知らせしていますので、ぜひそちらも✨これからも頑張りますのでまた感想をお聞かせ下さいね！ (2022年11月20日 16時) (
レス) @page17 id: 39adec4ff4 (このIDを非表示/違反報告)
謬見(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました(*´꒳`*)更新待ってます！！ (2022年11月19日 21時) (レス) id: 9ecb800a6a (このIDを非表示/違反報告)
通行人N(プロフ) - 鬼魂さん» コメントありがとうございます(_ _;)そう言っていただけてとても嬉しいです✨これからも更新頑張りますので宜しくお願いします。 (2022年11月14日 15時) (レス) id: 39adec4ff4 (このIDを非表示/違反報告)
鬼魂 - とても面白いです！更新頑張って下さいｯ!楽しみに待ってます！！ (2022年11月13日 16時) (レス) id: ce3cc772d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：通行人N | 作成日時：2022年10月1日 10時
