温泉地の熱気 ページ8
112番道路は道が悪く、フエンタウンへ直接行けない……はずだった。
というものの、新しい温泉ができたことにより、道路の整備も必要になり、それがすぐに行われたのだ。
つまり、すんなりフエンタウンに行けるようになったのだ。
ただ、さすがにすべての段差を埋めることはできず、片側だけがスロープになっている。
キンセツから向かう人はこのスロープを使い、フエンから戻ってくる人は段差を飛び下りて戻る。
そういうことらしい。
「前は確か、デコボコ山道から回っていかないと行けなかったんですよね?」
「そうそう。
フエンに客が集まりにくいのは、交通の便がすこぶる悪かったからだと思う。
今回のプロジェクトはデボンコーポレーションも絡んできているわけだから、道路整備の資金も比較的簡単に手に入ったのだろう。温泉の開拓より、そっちの方が狙い目だったんじゃないか?」
いつの間にやらプロジェクトの裏側を予想しているアランさん。
それ考えても私たちにはあまり関係ないですよね……?
「うわぁ……熱気が……」
スロープを登りきったところで、ものすごい熱気が体を包んだ。
思いがけずくらっときてしまった。
「おっと……!」
だけど大丈夫。私には唯一無二のガードマンがついている。
例に漏れず、今回も彼が受け止めてくれた。
「お前、本当に暑さに弱いんだな……。大丈夫か?」
「ん……なぁに、この程度なら、ちょっとくらっとくるだけで済みますよ」
「『ちょっと』で済まないのだが」
彼の瞳から迷っているような雰囲気を感じた。
「大丈夫ですってば。慣れればいいんですし、心配しないでくださいよ」
彼の体から離れ、熱気に耐えながら前に進む。
「本当に、無理すんなよ……」
彼が駆け寄ってくれて、背中を支えてくれたことで、どれだけ楽になったことか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
フエンタウンに着いた頃には、もう暑さにも慣れて元気溌剌だった。
ただやっぱり、今の服装だと暑すぎるかな、とは思う。
「アラン、温泉入りましょう!」
「……なぜそうなる。まあいいが」
今日泊まる予定の旅館に、話題の新しい温泉があるということで、私はもう大興奮。
チェックインを済ませ、夕食と朝食の時間を適当に決め、部屋の確認をしている間もずっと頭には『温泉』の二文字が居座っていた。
部屋は和風で、扉を開けたすぐに玄関があり、靴を脱いで部屋に上がる。
玄関と客室の間にふすまがあり、それをそっと開くと広々とした客室が。
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頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» 申し訳ございませんが、話の構成上、二人には離れてもらいます……。しかし、フレア団はちゃんと約束を守ってくれるはずですし、二人は強いですから、遠距離恋愛になるだけで済むと思います。……恐らく。 (2017年3月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 頂志桜(サム)さん» 結局、どうなちゃうの?(´・ω・`)?心配です。主人公とアラン、二人が離ればなれになるのは、損なのは嫌だ。悲しすぎる。絶対駄目。どんなことがあっても、主人公を守ってアラン。お願い。 (2017年2月27日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - メルディアナさん» コメントありがとうございます。要求を呑まない場合はやむを得ない=危害を加えられるため、受け入れてもらいました。アランは、主人公を傷つけてまで傍にいたいとは思ってないんですね。過去の過ち(脳波操作の薬の件)から学んだという裏設定です。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - アランは要求を断ると思いました。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: 3b894e4bc2 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» コメントありがとうございます。フレア団の登場、しかし当のモミジとアケビは要求について何も知らされていません。カギを握るのは、代表であるフラダリのみ。謎が深まる要求の意味。終盤への伏線です。こうご期待! (2017年2月27日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2017年1月24日 22時