魔法のような ページ46
【アラン視点】
急にAに呼ばれて応えたのだが、特に用はないらしい。
「何だよ、らしくないな」
「自分でもそう思います。
けれど、無意識だったんです。本当に」
「おかしいですよね」と笑い交じりに言うAだが、ジョークにしきれない感情がにじみ出ている。
やはり、これから会えなくなることが強い衝撃だったのかもしれない。
俺だってそうだからな。
いくらAを信じているとはいえ、心配は心配だし、会えないことは寂しい。
この選択があっているのかどうか、不安にならないわけじゃない。
……でも。
「〜〜〜〜♪」
たびたび聞こえてくる歌声が不安を和らげてくれる。
まるで魔法のように、ネガティブな思考が消滅していく。
さすが超人気質。
『今日くらい、肩の荷を下ろしてもいいじゃないですか』
ふとその言葉が脳裏をよぎった。
思わず笑みがこぼれる。
――そうだな。まだ時間はあるんだし、センチになるのは後にしよう
つくづく、Aの言葉は本物の魔法だと思ってしまう。
「……アラン、何で笑ってるんですか？」
怪訝そうな顔でこっちを見ているA。
「いや。特に何も。
よく曲のクオリティ安定できるなと思って」
「えへへ……お褒めにあずかり、光栄です」
照れながらも手はしっかり鉛筆を走らせていた。
「〜〜〜〜♪」
「…………」
音量、できるだけ落として『模範演奏』聴くとするか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【A視点】
「……よし、できたっ！！」
目の前には、洗練された音符たち。
「お疲れさん」
かすかに聞こえていた『模範演奏』が止まった。
「ちょうど飯の時間だ。行くか？」
「もちろん！！ 待ち遠しかったんですから！！」
条件反射の即答。
鉛筆を机に叩きつける勢いで置き、同時に立ちあがる。
「本当に限界まで腹減ってたんだな」
苦笑いしながらこちらを見てくる。
「笑いごとじゃないですよ。ほんと、餓死するかと思いましたからね」
「餓死は言い過ぎだろう」
いや、言い過ぎでもない気がする。
とかどうでもいいから早く美味しいもの食べたい！
小走りで畳を駆け抜け、ふすまを開けて玄関へ。
館内用のスリッパを履き、アランが来る前に玄関を開ける。
「早く食いに行きたいのは分かるが、少し落ち着け。
急がば回れだぞ」
そうやってなだめてくれるけれど、お腹を満たしてくれるのは食事だけ。
飢饉のときの人の苦しみがよく分かる。気合いだけで解決するなら誰も苦しまないわよ。
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頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» 申し訳ございませんが、話の構成上、二人には離れてもらいます……。しかし、フレア団はちゃんと約束を守ってくれるはずですし、二人は強いですから、遠距離恋愛になるだけで済むと思います。……恐らく。 (2017年3月1日 19時) (
レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 頂志桜(サム)さん» 結局、どうなちゃうの？(´・ω・`)?心配です。主人公とアラン、二人が離ればなれになるのは、損なのは嫌だ。悲しすぎる。絶対駄目。どんなことがあっても、主人公を守ってアラン。お願い。 (2017年2月27日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - メルディアナさん» コメントありがとうございます。要求を呑まない場合はやむを得ない=危害を加えられるため、受け入れてもらいました。アランは、主人公を傷つけてまで傍にいたいとは思ってないんですね。過去の過ち(脳波操作の薬の件)から学んだという裏設定です。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - アランは要求を断ると思いました。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: 3b894e4bc2 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» コメントありがとうございます。フレア団の登場、しかし当のモミジとアケビは要求について何も知らされていません。カギを握るのは、代表であるフラダリのみ。謎が深まる要求の意味。終盤への伏線です。こうご期待！ (2017年2月27日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頂志桜 | 作成日時：2017年1月24日 22時
