立場逆転 ページ43
【アラン視点】
Aはかなり悩んでいるようだった。
この反応は予想内だ。こいつが要求を呑まないことも考えの内だ。
そのときは身を挺してAを守る覚悟もできている。
だが、要求を受け入れることを迷っている理由は、予想と違う。
俺が予想していたのは、寂しさが理由で別れたくないというもの。
しかしAの別れたくない理由は、俺を守れないからなのだ。
まあ、『寂しさが理由で』というのはいささか自意識過剰だったとは思うが、なんだかなぁ。
「……わかりました。カロスリーグ開催日の前日までですね。
要求、呑みましょう」
Aは微笑みながら受け入れた。
「いいのか?」
「うーん、ちょっと心配ですけれど、あなたのこと信じてますから。
だから、私がいなくても大丈夫だって思えるんです」
「それに……」と続けるA。
「カロスリーグ前まで会わないってことは、その分お互い成長のし甲斐があるってことですよね。
『好きな食べ物を後回しにする』のと同じ理屈です」
「お前は後回しにしないだろ」
ツッコミを入れ、Aの言葉について考える。
『成長のし甲斐がある』か。こいつのポジティブシンキングには頭が下がるな。
確かに、Aと離れることによってより強くなりたいと思えるようになるのかもしれない。
きっと、こいつも同じことを思っているのだろう。
ふっと息を吐く。
「お前は本当に強いな。説得しようとした俺が逆に説得されるとは。
わかった。明後日の11時からは、別行動を取ろう」
「わかりました」
力強い笑みだった。
その笑みに安堵の息が漏れる。
「さ、それならなおさら、この旅行を楽しまないとな」
「そうですね」
俺の言葉を合図に、俺たちはダイゴさんたちの待つバトルフィールドへ踵を返す。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「待たせたな」
「お待たせしました」
また石について熱く語っていたダイゴさんとキリナに声をかける。
「おかえり。随分な長話だったみたいだね」
ダイゴさんがからかい気味に言う。どうやら話の内容は悟られていないようだ。
「あ、そろそろ僕たち行かないとね。さっき話したことを検証しに行こう」
「はい!」
ダイゴさんの誘いにキリナが威勢よく答える。
「いってらっしゃい、二人とも。
キリナお姉ちゃん、またポケモンの面白い話、聞かせてね。
ダイゴさん、バトル、本当に楽しかったです!
次会うときにもバトルお願いしてもいいですか?」
「もちろん。僕も楽しみだよ」
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頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» 申し訳ございませんが、話の構成上、二人には離れてもらいます……。しかし、フレア団はちゃんと約束を守ってくれるはずですし、二人は強いですから、遠距離恋愛になるだけで済むと思います。……恐らく。 (2017年3月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 頂志桜(サム)さん» 結局、どうなちゃうの?(´・ω・`)?心配です。主人公とアラン、二人が離ればなれになるのは、損なのは嫌だ。悲しすぎる。絶対駄目。どんなことがあっても、主人公を守ってアラン。お願い。 (2017年2月27日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - メルディアナさん» コメントありがとうございます。要求を呑まない場合はやむを得ない=危害を加えられるため、受け入れてもらいました。アランは、主人公を傷つけてまで傍にいたいとは思ってないんですね。過去の過ち(脳波操作の薬の件)から学んだという裏設定です。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - アランは要求を断ると思いました。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: 3b894e4bc2 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» コメントありがとうございます。フレア団の登場、しかし当のモミジとアケビは要求について何も知らされていません。カギを握るのは、代表であるフラダリのみ。謎が深まる要求の意味。終盤への伏線です。こうご期待! (2017年2月27日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2017年1月24日 22時