食べ物の力 ページ33
「そうだ、Aちゃん。この前の続き、お願いしていいかな」
ダイゴさんが逃げるように私に目を向けた。
もうあの切ない表情は跡形もなくなっていた。
「『この前の』って、バトルですよね?」
ダイゴさんはうなずく。それを見て私はアランの方を向く。
「……いいんじゃないか。お前もダイゴさんもやる気あるんだろ?」
「はいっ!」
アランもダイゴさんも、ずいぶん雰囲気が和らいできた。
食べ物の力ってすごいね。『同じ釜の飯を食った仲』って言うくらいだもんね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お支払いはダイゴさんが全額負担してくれた。
私とアランの分は例の券でもよかったわけだけど、結局デボンコーポレーションから引き落とされるお金だから、どっちにしろ同じか。
いや、ダイゴさんのポケットマネーからだから同じではないんだけど。
ダイゴさん、最初から領収書取ってなかったし、交際費にする気さらさらないよね……。
さすが御曹司……。
「毎度!」
クナゲさんが顔をしわくちゃにして笑う。
「ごちそうさまでした! 美味しかったです!」
店を出る前にもう一度クナゲさんに頭を下げて、感謝の気持ちを述べる。
「ありがとね、Aちゃん。また来てね」
「はい!」
大きく手を振りながら、店をあとにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「さて、と」
ダイゴさんに連れられて着いたのは、広ーいバトルフィールド。
「おお……広い……!」
「フエンタウン復興計画の一環だよ。
元々荒れ地だったところを整備して、バトルができる環境に仕立てたんだ」
なるほど、つまりはこれにもデボンコーポレーションが関わっているということですか。
さすが大企業。
アランとキリナお姉ちゃんは審判の立ち位置にいるんだけど……。
「だいぶ遠いなぁ」
広いから仕方ないんだけどね。
――ダイゴさんとの距離はスルーかよ
――言うまでもないですから
喉を疲れさせないために、アランとは思考のやり取りで会話する。
もうこれテレパシー能力者としてテレビ番組出演できるレベルだよね。
「ルールは1対1。できればこの前の続きだから、ツドキ君を出してくれると嬉しいな。
どちらかのポケモンが戦闘不能になった時点で終了。
で、いいよね? Aちゃん」
ダイゴさんが声を張る。私も負けじと大声で答える。
「もちろん! ダイゴさんもメタグロスでお願いしますよ!!」
ツドキのモンスターボールを握る手に力が入る。
――ツドキ、最高に暴れようね!
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頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» 申し訳ございませんが、話の構成上、二人には離れてもらいます……。しかし、フレア団はちゃんと約束を守ってくれるはずですし、二人は強いですから、遠距離恋愛になるだけで済むと思います。……恐らく。 (2017年3月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 頂志桜(サム)さん» 結局、どうなちゃうの?(´・ω・`)?心配です。主人公とアラン、二人が離ればなれになるのは、損なのは嫌だ。悲しすぎる。絶対駄目。どんなことがあっても、主人公を守ってアラン。お願い。 (2017年2月27日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - メルディアナさん» コメントありがとうございます。要求を呑まない場合はやむを得ない=危害を加えられるため、受け入れてもらいました。アランは、主人公を傷つけてまで傍にいたいとは思ってないんですね。過去の過ち(脳波操作の薬の件)から学んだという裏設定です。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - アランは要求を断ると思いました。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: 3b894e4bc2 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» コメントありがとうございます。フレア団の登場、しかし当のモミジとアケビは要求について何も知らされていません。カギを握るのは、代表であるフラダリのみ。謎が深まる要求の意味。終盤への伏線です。こうご期待! (2017年2月27日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2017年1月24日 22時