【最強メガシンカ】世界でいちばん頑張っている君に 〜〜11th Spa〜〜【ポケモンXY特別編】

最悪なタイミング ページ29

結局、クナゲさんはAのためにアイスクリームを用意してくれるとのこと。

「お前、舞い上がり過ぎじゃないか。いつものお前ならもう少し遠慮するところだろ」

満面の笑みのAに注意しておく。

「う……確かに、そうですけれど……。
でもクナゲさんも迷惑してはないみたいですし……」

「それはそうだが」

Aはしょんぼりとして、アホ毛も萎びてきた。

その様子を見ていると、ずんと罪悪感がのしかかってきて。

「……まあ、今回は仕方ない。
お前の言う通り、クナゲさんも迷惑してないようだし、今日くらい好きにさせてやろう」

甘いとはわかっているが、つい甘やかしてしまう。

Aはまた目を輝かさせ、アホ毛に電撃が走ったように活力が戻った。

元気がないよりは、こっちの方がいいか。


「あれ？ この写真……」

クナゲさんを待っている間、Aは本棚の上に飾ってある写真が気になったようで。

「どうした」

「この写真のクナゲさんの隣に写っている女の子、何か見覚えあるような気がして」

Aは本棚に近付き、そっと写真立てを手に取って、俺に差し出してきた。

写真全体の雰囲気から、最近撮ったものだと思われる。
敷き詰められた石畳の街並み……カナズミシティか。
そしてAが指さした人物。二つ結びのおしとやかそうな女の子。
年齢はAより4,5歳上、といったところか。

ん、確かにこの顔、見覚えが……。


「ごめんください」

記憶を辿ろうとしたときに、それを遮る声が聞こえた。
しかも聞き覚えのある声。聞きたくなかった声。

「あ、ダイゴさん！？」

タイミングがまずかった。

俺とダイゴさんの間に微妙な空気が流れる。
その空気はAまで巻き込んだ。

「……やあ、また会ったね」

一瞬だけだが、あからさまに嫌そうに俺をにらみつけてきた。

「さっきぶりだな。どうしてここに？」

「ここの店主と親交があってね」

声の調子はちっとも楽しくなさそうで、またさっきと同じことになる予感がした。
ただ、Aがいる分さっきとは違う。俺もダイゴさんも、Aの存在が抑制になるのだから。

「ダイゴさん、速いです……って、Aちゃんとアランさん！？
よく会いますね」

ダイゴさんの後ろからキリナが顔をのぞかせた。
汗をかいていることと息を切らしていることから察するに、ダイゴさんを走って追いかけてきたのだろう。

何も言わない俺の代わりに、Aがダイゴさんとキリナに畳に上がるように促した。

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