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兄妹 ページ27

「え、えーと、それは……」

私が迷っていると、アランが代わりに答えた。

「はい。兄妹です」

さらっと答えたもんだからびっくりしてしまった。

「ふむ……しかしあまり似てないのう」

「よく言われます」

またさらっと嘘を吐くアラン。

肘でつついてみるが、彼は何とも返してこない。

それどころか……

「兄妹、仲が良いのじゃな。いいことだ」

クナゲさんが微笑んでこちらを見てくる。

更に誤解させてしまったみたいだ。これはもうどうしようもない。

――いいんですか? 嘘吐いちゃって

――仕方がない。その方がお互い都合がいい

都合がいいって……それで嘘吐いていいわけじゃないでしょうに。


「ああ、そうじゃ。Aちゃんはラムネが欲しいんじゃったな」

そう言ってクナゲさんが店頭からラムネを2本持ってきてくれた。

私のアホ毛が再びぴんと立つ。

「そうそう!
アラ……お兄ちゃん! いいでしょう!?」

兄妹という設定だから呼び方を改めた。

「お、おい……」

いきなりの「お兄ちゃん」発言にかなり動揺している様子。
こうなる種を蒔いたのはアラン自身でしょ?

「ああ、代金はいらないよ。まけてあげる」

クナゲさんがそう言って机の上にランチョンマットを敷き、その上によく冷えたラムネを2つ、並べて置いた。

「どうぞ、召し上がれ」

「いいんですか!?
いただきます!!」

お言葉に甘えて、ラムネ瓶を手に取り、キャップ部分のラベルを剥がして玉押しを手に入れる。
玉押しを分解し、飲み口に差し込んで、準備完了!

「……いきます!」

手のひらで玉押しをぐっと押し込み、エー玉を落とす。
カランと、ガラスとガラスがぶつかる音が聞こえ、シュワァと炭酸が唸りを上げる。

溢れだした炭酸を無駄にしないように、行儀が悪いけれど舐めるように飲む。

「うーーー!! 美味しいっ!」

何この美味しさ! 爽やかなレモン風味、口の中を暴れまわる炭酸。
それは一般的なラムネにも言えるけれど、一般的なラムネとは根本的な何かが違う。

その何かは……

「もしかしてこれ、いい水使ってたりします?」

「Aちゃん鋭いねえ。えんとつやまの湧水でつくってるんじゃよ」

やっぱり。いい水を使うと全てが良くなる。
水は全ての源なのだ。

「ほら、お兄ちゃんも!」

――あまりその名で呼ぶな

言葉だけだと迷惑そうにしているように聞こえるが、実際は満更でもなさそうっていうね。

その証拠にほら、口角が上がってる。バレバレですぞ。

飲みっぷり→←疑いと答え



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設定タグ:ポケモンXY , アラン , 飯テロ   
作品ジャンル:アニメ
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頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» 申し訳ございませんが、話の構成上、二人には離れてもらいます……。しかし、フレア団はちゃんと約束を守ってくれるはずですし、二人は強いですから、遠距離恋愛になるだけで済むと思います。……恐らく。 (2017年3月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 頂志桜(サム)さん» 結局、どうなちゃうの?(´・ω・`)?心配です。主人公とアラン、二人が離ればなれになるのは、損なのは嫌だ。悲しすぎる。絶対駄目。どんなことがあっても、主人公を守ってアラン。お願い。 (2017年2月27日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - メルディアナさん» コメントありがとうございます。要求を呑まない場合はやむを得ない=危害を加えられるため、受け入れてもらいました。アランは、主人公を傷つけてまで傍にいたいとは思ってないんですね。過去の過ち(脳波操作の薬の件)から学んだという裏設定です。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - アランは要求を断ると思いました。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: 3b894e4bc2 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» コメントありがとうございます。フレア団の登場、しかし当のモミジとアケビは要求について何も知らされていません。カギを握るのは、代表であるフラダリのみ。謎が深まる要求の意味。終盤への伏線です。こうご期待! (2017年2月27日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2017年1月24日 22時

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