ハーモニー ページ23
「しかし、なぜに今？」
Aだって早く新曲やりたいだろうに。
「お風呂あがりって、結構脱水症状になってることが多いんですよ。
気付かないけれども、体内の水分が外に出ていっちゃってるんですね。
そんな状態で練習されても、いい効果は得られませんから。
練習でもベストコンディションでやるべきですよ」
なるほど。『腹が減っては戦はできぬ』的な考えだな。
「じゃあ、水分補給を終えたところで」
Aが机の上に置きっぱなしにしていた五線譜ノートを手に取る。
そして俺の方に回してきた。
「まずは上のパート、好きなタイミングでどうぞ〜」
面と向かって見られるとやりにくいのだが。
そんなこと言ってる場合じゃない。
線が上に伸びている方の旋律を目で追いながら、声に出してみる。
単調な動きだが、それがまたいい。
これこそ、Aが持っている『風景画のようなきれいさ』。
変に飾らず、ありのままをぶつけているような音の置き方。
「……いい曲だな」
最後の音、「ド」が終わってすぐに感想を述べた。
それは目の前で見られている恥かしさから逃げる、照れ隠しでもあった。
彼女はいきなりの感想に戸惑いつつ、はにかんだ。
「アランの歌声がいいからですよ。ちゃんと音とれてましたし。
下のパートもどうぞ」
Aに勧められ、下パートを歌っていく。
ハモリパートだけあって、なかなか合っているかどうか判別しにくい微妙な音程だ。
そしてすっきりしない。ハモリってこんなに難しいのか……。
「……どうなんだ、これ」
「初めてにしては、いい方だと思いますよ」
苦笑い、か。
「じゃあ今度、私が下のパートを歌います。
だから上のパート、しっかりしてくださいね？」
「ああ」
Aが右手を目の高さまで上げ、リズムよく振り下ろして振り上げた。
「さん、し！」
その合図で初めの音を出す。
その後優しく重ねるようにAの下パートが入ってくる。
どういうわけか、重なるとさっきのような不安定感が無くなり、音に幅が出るのが不思議だ。
特に音を伸ばすところで二つの声の重なりがきれいに聞こえる。
そしてAの透き通った歌声。一緒に歌っていると俺まで上手くなったと錯覚するほどだ。
「なかなか、いいじゃないですか？」
「ああ。いいと思う」
やりきったと言わんばかりのAの表情。
「驚いたよ。合わせるときれいに聞こえるんだな」
「それがハモリの醍醐味です」
そう言いながら湯呑みに手を伸ばすA。
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頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» 申し訳ございませんが、話の構成上、二人には離れてもらいます……。しかし、フレア団はちゃんと約束を守ってくれるはずですし、二人は強いですから、遠距離恋愛になるだけで済むと思います。……恐らく。 (2017年3月1日 19時) (
レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 頂志桜(サム)さん» 結局、どうなちゃうの？(´・ω・`)?心配です。主人公とアラン、二人が離ればなれになるのは、損なのは嫌だ。悲しすぎる。絶対駄目。どんなことがあっても、主人公を守ってアラン。お願い。 (2017年2月27日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - メルディアナさん» コメントありがとうございます。要求を呑まない場合はやむを得ない=危害を加えられるため、受け入れてもらいました。アランは、主人公を傷つけてまで傍にいたいとは思ってないんですね。過去の過ち(脳波操作の薬の件)から学んだという裏設定です。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - アランは要求を断ると思いました。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: 3b894e4bc2 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» コメントありがとうございます。フレア団の登場、しかし当のモミジとアケビは要求について何も知らされていません。カギを握るのは、代表であるフラダリのみ。謎が深まる要求の意味。終盤への伏線です。こうご期待！ (2017年2月27日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頂志桜 | 作成日時：2017年1月24日 22時
