内側の戦い ページ12
【アラン視点】
この娘はいつになったら気遣いを覚えるのだろうか。
いや、普段の気遣いはもう完璧と言っていいほどだ。だが、俺が言っているのはそういうことじゃない。
恋愛が絡んでくると彼女は鈍感になる。
「全く、どんなご都合主義だ」と笑い飛ばしたいところだが、それすら彼女は意味を察せないだろう。彼女のもとに届くころには無意味な言葉に変わってしまう。恨めしいな。
まあ、そのつもりになれば、俺だってこんなことを考えずに済むのだが。
「それで、あの……」
「その頭の上のタオルが何を意味するか、考えてみろ」
湯気が濃いとはいえ、湯の色は透明に近い半透明。
Aは当然のことながら湯にタオルをつけないマナーを守っているため……これ以上は言えない。
「…………そういうことですか」
結構な時間がかかって、Aがぼそっと呟いた。
「……だけど、こうすれば、いいですよね?」
嫌な予感がしながらも、Aの視線を感じ、恐る恐る横を向く。
Aは体育座りになり、手で乙女の神秘なるその部分を隠していた。
……何とも危ない恰好だ。まさかここまで危ないとは。
下心が無かったと言えば嘘になるが、さすがにこれは自然と目を逸らす。
「え〜……ダメですか?」
「ダメに決まってるだろ」
ここまで粘るか……。
まさか、この娘、全て計算通りだとか……?
「一昨日ガン見したくせに」
「いやだからそれは違う! あれは事故だ! ガン見もしてない!」
恨めしそうに俺を見つめるA。
全力で否定する。あれは故意じゃない。
「でも、見たことには変わりないんでしょう?」
ああ……それを言われると何も言い返せない。
「だったら一応隠してる分、一昨日よりも安心できるんじゃないですか?」
「そんな簡単な問題じゃねえよ」
人というのは想像力を持ち合わせている。
隠されていても、脳内ではそのままを映し出してしまうことだって特別なことじゃない。
そうなった場合、俺の理性がどこまで持つか。そしてAに悟られないようにどう対処するか。
――いいじゃないか。相手はAだ。本性さらけ出しても問題ないだろ
久しぶりだな『俺』。相変わらずの悪魔ぶりだな。
『親しき仲にも礼儀あり』だぞ。
それに、警察沙汰はごめんだ。
――バレなきゃ犯罪じゃないんだぞ
おいおいおい、問題発言にも程があるぞ……。
「こうなったら、事後承諾でいいです」
「え」
Aがいきなり立ち上がり、俺の隣まで移動してきた。
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頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» 申し訳ございませんが、話の構成上、二人には離れてもらいます……。しかし、フレア団はちゃんと約束を守ってくれるはずですし、二人は強いですから、遠距離恋愛になるだけで済むと思います。……恐らく。 (2017年3月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 頂志桜(サム)さん» 結局、どうなちゃうの?(´・ω・`)?心配です。主人公とアラン、二人が離ればなれになるのは、損なのは嫌だ。悲しすぎる。絶対駄目。どんなことがあっても、主人公を守ってアラン。お願い。 (2017年2月27日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - メルディアナさん» コメントありがとうございます。要求を呑まない場合はやむを得ない=危害を加えられるため、受け入れてもらいました。アランは、主人公を傷つけてまで傍にいたいとは思ってないんですね。過去の過ち(脳波操作の薬の件)から学んだという裏設定です。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - アランは要求を断ると思いました。 (2017年2月27日 17時) (レス) id: 3b894e4bc2 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 瑠美さん» コメントありがとうございます。フレア団の登場、しかし当のモミジとアケビは要求について何も知らされていません。カギを握るのは、代表であるフラダリのみ。謎が深まる要求の意味。終盤への伏線です。こうご期待! (2017年2月27日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2017年1月24日 22時