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31.裏切りは退職届の味(上) ページ14



 部屋に戻ってシャワーを浴びた神威は春雨からの通信を受けていた。

 急遽、徒廻星での仕事が入った。神威は通信相手に仕事内容の確認をする。

「──わかりました。《殺し屋 綸榭》の暗殺ですね。俺がやるのでご安心を」

 通信を切った彼は通信機をベッドに放り投げて考え込む。Aに知られたら面倒な仕事だ。この件には関わらせたくない。

 女を殺す趣味はないが、仕事となれば話は別だ。それに、夜兎と戦うのは久しぶりである。強者との戦闘を求める彼の血が騒いでいた。

──阿伏兎も嫌がりそうだな。

 夜兎の血を愛でる男。彼は同族での戦いを好まない。この件に阿伏兎を関わらせたら、彼の悪いクセが出そうだ。
 それでも、阿伏兎は仕事とあらば非情になれる男である。その点はAと違う。

──知られないうちに全部処理しないと。

 神威は着慣れたチャイナ服に袖を通す。やはりこれが一番しっくりくる。

 邪魔が入るくらいなら、一人で行った方が快適だ。阿伏兎には黙って出ることに決める。

──前に押し付けられた時は使う日が来るとは思わなかったな……あったあった。

 持ち物から目的の物を取り出し、懐に仕舞う。
 そのまま神威はAの部屋へ向かった。


 ドアをノックし、訪問を告げる。

「A、俺だけど。入って大丈夫?」
「うん、今開けるね」

 中に通される。
 Aはいつも部屋着にしているチャイナ服を着ていた。やっぱり着慣れた服が一番落ち着く。

 シャワーを終えて着替えたばかりなのだろうか。乾ききらなかった髪の毛先がまだ濡れている。柔らかな頬は(あで)やかに紅潮していた。部屋の中に充満するシャンプーの香りがくすぐったい。

 密室にシャワーを終えた男女が二人。後ろにはベッド。

 おっといけない。神威はもっと大事な用事があってここに来たのだ。

 これからすることを考えれば、色に(ふけ)っている場合ではない。汚れ仕事をする彼がおいそれと手を出してよい状況ではないのだ。ただ、安全でいられるように護ることができればそれでよい。

 しかしシャワー上がりというのなら、絶妙なタイミングで来たものだ。

「シャワー出たばかりなら、喉乾いてるでしょ。俺が水入れてあげるよ」

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設定タグ:銀魂 , 神威   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy  
作成日時:2024年3月25日 21時

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