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時間は過ぎていき、横尾さんは聞いてきたくせに俺に了解もとらず、私物を置くようになり泊まるようになっていた。
彼女はいいのと聞いても、大丈夫とはぐらかされる。こんなに誰かに優先されることが久しぶりだったから…少し胸がザワついた。
それでも藤ヶ谷さんが忘れられなくて、
藤ヶ谷さんに似た雰囲気の人とすれ違うと目で追ってしまっていた。
「北山先生、最近元気ないですね?」
「そうか?」
「はい。何かあったんですか?」
「・・・何もねーよ。受験生が気にすることじゃねーから。はい、勉強勉強」
「・・・はーい」
生徒との関わりは唯一働くヒトとして保たせてくれているのに、ふと我に返ってしまっていて玉森なんかはすぐそんな俺に気付いてくる。ホント気が抜けない。
ついに、明日が美容院の1ヶ月に1度の予約の日になってしまっていた。ドタキャンをするつもり。人として最低だと分かってるけど、予約のキャンセルの連絡をする勇気も、いつも通りの顔で会う自信もない。
あの日から決めてたこと。
授業の合間、デスクに置いておいたスマホを手に取ると、偶然に電話がかかってきた。
「・・・・・・・・・っ!」
表示されてる名前
それは、藤ヶ谷さんが勤めてる美容院だった。
なんだろう、明日のことなのか。
何か変更があって、電話に出ないと困らせてしまうのか。
ドタキャンをするつもりだったくせに
いざ予定外に電話がかかってくるとあたふたし、動揺してしまう。
「はい。北山です」
とりあえず、電話を出て明日は行けなくなったとシレッと断ろう。藤ヶ谷さんからの電話ではないかもしれないし。そう思って電話に出ながら席を立った。
通話ができる防音ルームへと行き、高鳴る鼓動を抑えながら、相手の言葉を待った。
すると
『・・・・・・の藤ヶ谷です。北山さんのご携帯でお間違いないでしょうか?』
美容院の名前の後に聞こえてきたのは
藤ヶ谷さんの名前。そして声。
高鳴る鼓動を抑えることをできるわけもなく
早くなって苦しくなっていく。
「・・・はい。北山です」
電話を出た時と同じ言葉しか発することができない。
スマホを持つ手が震える。電話の先が藤ヶ谷さんだと予想することもできたのに。予想してたのに。現実だと分かると何も気の利いた反応もできない。
『北山さん、明日ご予約入っていますが、ご予定は大丈夫でしょうか?』
こんな電話はかかってきたことがない。
それは、きっと…
あの夜があったから…
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まいまい(プロフ) - ドキドキしすぎて私も好きな人の都合のいい相手になった気分です…宏光の気持ちがわかりすぎて切ない…ファーストも読みます!、 (2021年6月7日 8時) (レス) id: f1bcc9ce7b (このIDを非表示/違反報告)
R.Y kano(プロフ) - コメント失礼致します(_ _)セカンドとても面白かったです!ファーストも読みたいのですが作者様のページを見ても載ってなくて、どこから探せばいいですかね(--;) (2019年2月9日 9時) (レス) id: bbd6053d3d (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - ももさん» 私も詳しくなくて、そうしていただけるとありがたいです (2018年8月11日 15時) (レス) id: cd6021df3e (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - りなさん» りなさん 遅れてすみません!設定で年齢のところだとは思うのですが、初心者で詳しくなくすみません、もしよければメッセージでリンクなどお送りしましょうか?(ノ´▽`)ノ (2018年8月11日 9時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - ももさん» お返事ありがとうございます。どうやったら見られるようになるかおわかりになりませんか?セカンドとてもおもしろかったのでファーストも見させて頂きたいです。 (2018年8月10日 1時) (レス) id: cd6021df3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2018年6月2日 22時