青い夏 四章

216 ページ17

「2人とも！もうええから！
俺もずっと昔から一緒におったのに
ちゃんと支えられへんかった
やから、お互い様やろ」


「私も、睦月の気持ち見ないふりして
しげの本心聞こうともしないで
のんちゃんの事振り回して
みんなの声からも逃げてた
だから、私も悪い
ごめんなさい」

私とのんちゃんも頭を下げる

すると、頭上から他4人の笑い声が聞こえ
私たちは顔を上げる


「何やねん！ほんま！w」

「急に謝罪大会始めんなや！！ww」

そう笑い転げる濱ちゃんとあっくん
何も言わずにお腹を抱える兄とともくんは
心底面白そうに笑っていた

それにつられ私たちも笑い合う

彼らの笑顔は、私たちを許してくれた
そして、笑い合う私達は
お互いの非を認め、また前に進むためにもう一度ここまで来た


「ま、色々あったけどさ
今笑えてるんならそれでええやん！」

「そやで、お前たちが笑ってくれるのが
俺らにとって一番嬉しい事やからな！」

濱ちゃんに続いてそう言ったあっくんは
私たちを4人まとめて抱きしめた


「ちょ！照史離せや！！」

いつものようにしげが喚く
のんちゃんや睦月は嬉しそうに微笑んでいた

私も、また帰ってきた日常に
笑みをこぼさずにはいられなかった



夜になり、睦月は自分の家に帰ると言い出した

一人暮らしの彼女を心配し
全員で必死に止めたが
「大丈夫」とそれだけ言って玄関を出て行く

それを追いかけ帰るみんなを見送ることにした


「ほんじゃ、またなー」

そう言って帰って行く3人と

まだそこに残っているのんちゃんとシゲと睦月

私も別れを告げようとした時
睦月が口を開いた


「大毅、明日時間ある？」

「え、おん」

「話があるの」

そういう睦月の顔は
決意が固まったのだろう
たくましい表情をしていた

それを見て悟ったしげも
真剣に睦月を見つめ、小さく頷いた


「ほれ、帰るぞー」

いつのまにか歩き出していたのんちゃんが2人に声をかける

それを追うようにみんな先へ行ってしまった

見えなくなるまで見送ると、のんちゃんが1人で戻ってきた


「なあ、A」

「ん？」

「よう頑張ったな」

彼はそういうと、私の頭を撫でてくる

それと同時に、頰に涙が伝う

そんな私を抱きしめれば
安心させるように背中を撫でてくれた


「長かったな、やっとやな」

「うん、ありがとう」

そう告げ、彼に笑いかければ
同じように笑顔で返事をしてくれた

217→←215

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す