涙で光るガラス (ページ8)

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海斗くんから"今日の夜、いいかな？"なんて連絡が来たのは、数日後のお昼の時間だった。

夜だとカフェは開いていないから、待ち合わせはいつもの海の浜辺。

松倉「Aちゃん、おつかれ」

振り向くと、金髪から黒髪に変わっている海斗くんが居た。

『海斗くん？』

松倉「うん」

『おつかれさま。髪色違うからビックリしちゃった』

松倉「金の方がいいかな？」

『ううん、どっちも似合ってるよ』

私が髪に触れると、海斗くんは少し照れたように笑った。

松倉「ていうか急でごめんね。早めに終わるってわかったのがあの時間で」

『私いつも暇してるから大丈夫』

松倉「ここまで来る道、暗かったけどいつもあんな感じ？」

『そうだよ。ね、何も無いでしょ？』

松倉「何も無いのは別にいいんだけど、あんなに暗いとこ毎日女の子が一人で歩いてるとか、心配なんだけど」

『大丈夫だよ』

松倉「気をつけろよ」

『うん、ありがとう』

朝も海風でそれなりに寒いけど、夜風はもっと冷えている。

松倉「Aちゃん、寒くない？」

『ちょっと寒いかも』

松倉「俺今日に限って上着とか持ってないんだよな…ごめん」

海斗くんもポケットに手を入れて身を縮めて寒そうにしている。

どうしよう、この辺本当にお店とかないし…

『あの、ココア飲む…？』

松倉「ん、自販機？でもまだ温かいの売ってる時期じゃないよね」

『自販機じゃなくて』

松倉「どこか良い所あるの？」

『良い所ではないけど、その…』

松倉「ん？」

『…私の家、とか』

松倉「いいの？」

『うん。海斗くんだから』

松倉「…そっか、じゃあお言葉に甘えて」

海から歩いて私の家に向かう。

『夜ご飯食べた？』

松倉「食べてないや。Aちゃんは？」

『私も。じゃあ、コンビニで何か買う？それか大したものは作れないけど、私が作ってもいいし』

松倉「じゃあ、Aちゃんのご飯がいいな」

『わかった』

松倉「でもごめん。コンビニ寄るからさ、住所携帯に送ってくれないかな」

『え？それなら私も一緒にコンビニ行って待つよ』

松倉「いや、その…Aちゃんは先に帰って、お料理の準備しててもらえると嬉しいかな」

『そう？じゃあ住所送るから、もし迷子になったら連絡してね』