if... (ページ24)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:18,197 hit

24 ページ24

昼休みが終わって、教室に戻るあいだ
何も話すことができなかった。

中学の授業なんて記憶も曖昧で
聞いていても、何も頭に入ってこない。

こんなところまでリアルじゃなくていいのに。
夢なのに本当に細かい。

それより大毅のことを考えなくては。
ここで怯んではいけない、と
自分を奮いたたせる。

あんなところを見て、
放っておくことなんてできない。

そういえば、とさっきの下駄箱で
男子が言っていたことを思い出した。

三上くんがどうのこうのって言ってたけど
なんだったんだろう。

気持ちを考えろとか言っていたような。

たしか大毅と仲良かったはずなんだけどな。
サッカー部の親友同士だったと思う。

大毅がこんな目にあっているのに、
三上くんはどうしているんだろう。

友達ならなんとかしそうなもんだけど。

そんな考えが浮かんだけれど、
すぐに打ち消した。

実際私は何もしなかったじゃないか。

あの人数を前にして、
自分がいじめられるリスクを背負って
立ち向かえる人はなかなかいないのかもしれない。

自分ができなかったことを、他人に求めるのはだめだ。

チャイムが鳴って、
今日のすべての授業が終わると
真っ先に大毅の席に向かった。

教室の空気が一瞬張り詰める。

なんで重岡と話してるんだろ･･･？
え、どうした？なんて言いながら
忍び笑う声があちこちから聞こえてくる。

大毅本人ですら驚いているんだから
私がしたことは、クラスメイトから見たら
とんでもないことなのかもしれない。