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｢そうだけど、何？｣

私が恥ずかしがって怯むと思ったのか
予想外の返答に虚をつかれた顔をする。

｢なんだよ、お前たち。
もしかして付き合ってんの？｣

冷やかすような声を上げて、また笑い始める。
なんて下品なんだろう。

｢すぐそうやって恋愛に持っていくのもガキくさい、気持ち悪い｣

｢はぁ？｣

ガキくさいと言ったのがよほど癇に障ったのか
ムキになって言い返してくるけれど、
さっきまでの怖さはもうなくなっていた。

｢邪魔だから消えんのはあんたたち！｣

｢なんだお前。めんどくせーな。行こうぜ｣

ぶつぶつ文句を言いながら男子の集団がいなくなると、
ずっと俯いたまま立っていた大毅が顔を上げた。

｢なんか、恥ずかしいとこ見られてもうたな｣

そう言って困ったように笑う。

大毅が気丈に振る舞おうとしているのが
痛々しかった。

物を投げられただけでなく、何度も蹴られたのだと
学ランのズボンが上履きの跡だらけになっているのを見て気がついた。

｢大毅、もういいよ｣

｢いや、ほんまどうってことないで？
巻き込んでごめんな｣

｢違う！大毅は謝らなくていい･･･っ！
ごめん。知ってたのに、ずっと、なんにもできなくて･･･本当にごめん｣

｢Aが謝ることちゃうよ｣

悲しそうな顔をする大毅と
目を合わせることができない。

こんなに苦しんでいた大毅を見もしなかった
過去の自分を責めることしかできないなんて。

悔しくてたまらない。