▽ ページ10
コンビニの店裏から聞こえて来た声にハッとしてそちらに駆け寄る。
辺りに人がいないために誰かに助けを求めるなんてことは出来ないし、店内にも客はおろか店員すらいなかった。
店の裏へと回り込めば、そこにはAの腕を無理矢理掴むコンビニ店員の姿があった。
居ても立ってもいられなくなってコンビニ店員とAの間に割って入る。
｢な、成瀬くん！助けて！！｣
｢っ、A！！！｣
恐怖のあまり震えながら俺の名前を叫ぶAの姿は見て居られなかったし、何よりも目の前の男に対する怒りが沸き立っていた。
Aの華奢な腕を掴むその男の腕を俺が掴んで無理矢理引き剥がす。
｢なんっだよお前！｣
｢成瀬くん、危ない！逃げないと！｣
｢A、大丈夫よ、落ち着きなさい｣
ふつふつと煮え立つ怒りをどうにか鎮めながらふーっと息を吐く。
相手の男も大体俺と同じぐらいの年齢なのだろうか。
顔立ちからして若いし、成人しているようには見えなかった。
同じような年齢の人間がストーカーをしたり盗聴器を仕掛けるだなんて何ともまぁ悪趣味な話だ。
バカなことをするのも程々にしてほしい。
必死に相手に殴り掛かりそうになるのを抑えて何とかAとその男を引き離す。
｢ねぇ、Aちゃん、俺らで二人で話してただけなのに誰だよコイツ！｣
｢はぁ？お前こそ誰だよAに話かけてんじゃねぇよ｣
何とか怒りを抑えこんでいたものの、この男がAの名前を呼ぶものだから俺は怒りを抑えることが出来なかった。
腹が立って仕方がないことがそのまま声にも表れて低くなってしまっているし、いつものような口調で話すことが出来なかった。
｢な、なるせくん、｣
｢なぁ、お前何？いつからAに盗聴器なんて付けてたんだよ。気色の悪いスク水なんて何で送って来てんだよ｣
｢それは、俺らそう言う仲だからに決まってるだろ？｣
｢はぁ？いつAとお前がそんな仲になったんだよ。大体Aがそんな悪趣味な真似する訳ねぇし、何よりなぁ｣
グッと相手の胸倉を掴んで耳元へと近付き余計に低い声で俺は静かに男に告げる。
｢俺のAなんだよ。簡単に手ぇ出してんじゃねぇ｣
きっと、Aには聞こえてない声。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鎖座波(プロフ) - 星月_hosituki_さん» コメントありがとうございます（；；）更新頑張りますね、、！ありがとうございます！ (2020年6月28日 17時) (
レス) id: 9beb0497a0 (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - 尊いわ…なるせちゃんかっこかわいすぎるっ！しかも気になるところで終わってる！？っあぁ！！続き気になる！待ってます！！ (2020年6月8日 19時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - 尊すぎて瀕死になりましたごちそうさまです…1ページ1ページに尊み爆弾あって尊すぎて叫びまくりましたありがとうございます好きです付き合ってください (2020年5月19日 2時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鎖座波
| 作者ホームページ：桃色オネエラッパー×クーデレ生徒会長
作成日時：2020年5月16日 3時
