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「っちょ、成瀬くん…!?」


押し付けた、と言っても怪我をするような力の強さではなかったし、何より俺が彼女の腕を掴んでいるので、壁と彼女の間には俺の手があった。
やめろ、とでも言いたげに俺の手を振り解こうとするが上手く行かない。

いくら鍛えてる、とは言え彼女は「女子」であることには変わりはないし、血気盛んな現役男子高校生に力で勝てる訳がない。


「ね?アタシの腕も振り解けないでしょ?そんなんで自分の身を守ろうったって、説得力無いわよ?」

「…っ、」


返す言葉を無くしたのか、彼女はそっぽを向き抵抗する素振りをしなくなった。
俺もゆっくりと彼女の腕を掴む手の力を緩めると、彼女から「…ごめん」と小さく聞こえた。


「いいのよ!分かればね!Aは守ってばっかりなんでしょうけど、たまには守られなさい!」

「分かったよ。私は成瀬くんには適わないなぁ」


ヘラリと笑うAにキュン、と胸が高鳴る。
何だこの笑顔、可愛いと言うか、イケメンと言うか。
女子がキャーキャーと騒ぐのも頷けるようなそんな笑顔だった。

俺だってAにキャーキャーと騒いで欲しいが、彼女は俺のことなんてこれっぽっちも気に留めていやしない。
通報されかけたぐらいなのだから、迷惑な蚊だ、と言う程度にしか捉えられていないのではないのだろうか。
……自分でそう考えていると悲しくなるのでこれ以上考えるのは辞めておこう。


「そうだA!こうして二人で帰ると言ったらやることは一つでしょう!」

「……次の成瀬くんの犯罪行為を未然に防ぐための視察…?」

「ちっがう!何でそうなるのよ!おかしいじゃない!?」

「あはははっ!冗談だ冗談!こうして誰かと帰るなんて初めてだから何をするか知らない。教えてくれると嬉しい」

「えっ?マジで言ってんの?」

「うん。マジだマジ」


確かに、彼女が周りの女子高生のように誰かとつるんで一緒に居ることや、昼食を誰かと食べている所を見たことがないとは思っていたが。
誰かと一緒に帰ることが無かったとは一匹狼を通り越して最早ぼっちとかそんなものではないだろうか。
ぼっちと言うかいじめにでも遭っているのではないかレベルに。

そこまで考えると悲しくなるけれど、彼女自身が誰かと一緒に行動することにこれっぽっちも執着していないのだ。

何か困ればAの方から声を掛けて、周りは特に気にしない。それが普通なのだ。

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鎖座波(プロフ) - 星月_hosituki_さん» コメントありがとうございます(;;)更新頑張りますね、、!ありがとうございます! (2020年6月28日 17時) (レス) id: 9beb0497a0 (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - 尊いわ…なるせちゃんかっこかわいすぎるっ!しかも気になるところで終わってる!?っあぁ!!続き気になる!待ってます!! (2020年6月8日 19時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - 尊すぎて瀕死になりましたごちそうさまです…1ページ1ページに尊み爆弾あって尊すぎて叫びまくりましたありがとうございます好きです付き合ってください (2020年5月19日 2時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鎖座波 | 作者ホームページ:桃色オネエラッパー×クーデレ生徒会長  
作成日時:2020年5月16日 3時

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