◎ ページ19
見たことの無い、明らかに違う悪鬼が二体。
相対するような赤と青。
｢敵がどれだけ増えようと…わっちは主らを倒すだけでありんす｣
｢まぁまぁ、俺らだってそんなすぐ取って食おうって考えてないからさぁ。黒蝶サン、気楽に行こうよ？｣
｢静かにしなんし！わっちが主らと話す道理などありんせん｣
あちこちで私の隊員と悪鬼達がぶつかり合う音がする。
一進一退のその戦況に私は頭を悩ませる。
今まで、このような苦しい状況に陥ったことは少なかった。
赤と青が愉快そうに笑えば、私は再び刀を握りなおして間合いを詰める。
どちらも刀を握り、私が間合いに入った瞬間にその柄で私の両脇腹を思い切り突いてきた。
｢グッ、｣
口から空気が漏れ、思わず体制を崩してしまう。
｢隊長ッ！！｣
私が悪鬼から攻撃を受けることなんて滅多に───億が一にもなかったことなので焦りの声が隊員から上がる。
｢わっちのことはいい！主らは自分の戦いに専念しなんし！何としてでもこの場を守るのでありんす！｣
攻撃をされたからなんだと言うのだ。私がこの鬼を狩らなければ誰にもこの鬼二体を狩ることは出来ない。
刀を握る手に力を込める。
何も恐れるものはない。私が、此処で、斬る。
ふぅ、と息を吐きながら二体の鬼へと走って行き、斬りかかる。
刀を思い切り振り上げ、下ろす──────
筈だった。
｢ぅぐッ！？｣
赤い悪鬼が私の脇腹を短刀で刺して来たのだ。
目にも止まらぬ速さで、どこからか短刀を出し、突き刺してきた。
ぼたた、と赤い鮮血が地面に垂れ落ちる。
それを見た青い悪鬼が満足したかのようにニィッと口角を吊り上げる。
｢はーい。皆一回止まってー。今日は黒蝶サンの血も見れたことだし帰りましょー｣
｢待てぇ…ッ！｣
｢無理無理〜！だって黒蝶サン、その傷だよ？まだ戦うのー？死んじゃうよー？｣
｢隊長！そのような傷ではもう無理でありんす！わっちら後を追いんすから……！｣
｢やめなんし。わっちにでも斬れぬ鬼が主らに斬れる訳ありんせん…！｣
苦渋の決断に、歯をぎりぃと食いしばる。
今の傷で戦っても余計な戦死者を出すだけ。そんなの誰も望んでいないし、最悪の結果を生むだけだ。
私がどうすることも出来ずに地面に膝を着けば、大勢の鬼は一瞬にして姿を消した。
｢ふ、ぅッ、｣
｢黒蝶様、早く帰って手当を…｣
｢いいえ、此処で隊長の怪我を治して……｣
隊員達の焦る声に額から汗が滲み、段々と意識が薄れて行くのが分かる。
そんな中、聞き覚えのある声が一つ。
｢Aは俺に任せろ。俺がどうにかする｣
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - この作品好きです！続き楽しみに待ってます！ (2022年3月9日 2時) (
レス) @page40 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
露(プロフ) - すごく好きです…いままでこういう系統の作品や生々しい部分に触れるものは読んでこなかったんですけど、設定や世界観がすごく凝っていて引き込まれてしまいました…！更新、楽しみにしています！ (2022年2月19日 9時) (レス) id: ecc7bc2fb7 (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 緋鞠さん» 廓言葉褒めて貰えて嬉しいです（；；）本当に有難いです（；；）めちゃめちゃ嬉しいです本当にありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 呉羽さん» コメントありがとうございます。更新頑張ります！本当にありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - ルイさん» 世界観に拘ったのでそう言ってくださって凄くうれしいです、ありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
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