ｋｚの癒しちゃんは元……だった！？ ー３ー

80、やけに騒がしい　〜雪彩〜 ページ17

若「すみません。社長に招待を頂いている若武ですが...」

受付「確認いたします。少々お待ちください」


私たちが内装の豪華さに圧倒されている間に若武はスムーズに受付をすませている。

こういうとこではきちんと喋れるのになんで会議になると語彙力が低下したみたいに理解しがたい言葉を発するのだろう....？



そんなことは置いておいて周りがやけに騒がしい。

私が知らない間に社員さんが増えたのかな。


黒「アーヤ(ボソッ」

彩「ん？ なに黒木君？(ボソッ」

黒「”アーヤ”やけに視線集めてない？(ボソッ」

確かに...

何処を見ても社員さんらしき人と目が合う

なにか無礼を働いただろうか。

それとも男の子がこんなにいるのは珍しくてか...

彩「女性の所属が多い事務所だから男の子がいるのが珍しいんじゃない...？」

黒「.....ふーん」


『ふーん』？！？？！？！？！

黒木君らしくない！！



そんな呑気なことを考えていると

遠くで誰かがすすり泣くような声が聞こえてくる

嫌な予感がする。

現役時代よく聞いていた声だ。


とたんスイッチが入ったように

感覚神経が研ぎ澄まされ、全身に一瞬鳥肌が立つ。 突然のことで思わず目をつぶる。







すぐ近くと、遠くから注がれる強い視線。

なにかに気づくような息を呑む音。

高揚しつつ抑え目な声。

だんだんと近づいてくる聞き覚えのある泣き声と匂い。




明らかにピンチなのだが襲ってくる懐かしい気持ちに浸ってしまう。


ｋｚにだったら言ってもいいのではないか。

いっその事週刊誌の会社に行って告白でもしてしまおうか。ついでにまた芸能活動をして。


...いつでも私の悩みを開放的な提案してくれる、

そんな大好きな”ところ”





黒「あ、ーや...？」

いち早く私の異変に気づいた黒木くんに声をかけられる

彩「...んーー」

私は少し悩んだ素振りを”見せた”あと

彩「ふふ」

少し笑って、普通に戻って


口元に人差し指を近づけた。




それを合図に周りの騒々しさは空気に溶け込んでいった


当時いなかった人がいるのに分かるってことは伝承されていたのか。

なんてくだらないことをしてるんだ、とまた笑みを浮かべる。






(久しぶりで分からないが)私たちが来る前と同じ振動に戻っただろう。














近づいてくるすすり泣く声を除いて。

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