オリキャラ短編集 13

幽霊が見える事で ページ42

「それでさぁ、本当嫌になるわよねぇ。ミストレス、そう思わない？」

「そうかしら？」

トイレで手を洗いながら、友人と話をしている時

(げっ！)

鏡に映る、男性達の幽霊に驚く。

「ちょっと！！女子トイレ覗かないでよ！」

と、思わず叫んで追い払った。

「え、どこに！？...って、どこにもいないじゃない」

「あ、ああ...今、さっき男が覗いてた気がして、思わず...。あれぇ、い、いないなぁ...！気のせいだったかなぁ！」

取り繕うにも一苦労した。そして着替え室にも

(うーわ、新手の変態幽霊達...。壁をすり抜けて入ってきたのか...)

本当、男は幽霊になると色々ぶっ飛ぶのだろうか。誰からも気付かれない存在になったとはいえ、少しは倫理観を持ってほしい。

「ミスティ、なに着替えるのにためらっているのよ？覗き見されてる訳でもないのに」

(いや、思い切り見られてるよ！)

ミストレスは平気な振りをして、鼻の下伸ばす幽霊達を無視する。

(まさかと思うけどなぁ...)

一人暮らしの家に帰ると、誰もいない。安堵してシャワーを浴びようと浴室に向かった時

「あ、どうもっす」

「......」

男の幽霊が家に現れる事も、年にあるか無いかだ。どういう訳か、たまに浴室に現れる事も。どいつもこいつも女好きなのか。

「...なさい」

「ふぇ？」

ミストレス「出て行きなさいって、言ってんでしょうがああああああああ！！そしてさっさとあの世に行きなさいよ！！」

当の霊は怖気付いて逃げて行った。こんな奴でも、せめて来世ではまともになってくれるのを願うばかりだ。とまあ、霊感持ちの女性ならこんな苦労は間違いなくあるだろう。ミストレスは深くため息をついた。

「本当慣れたとはいえ、まだ慣れきれないなぁ...」

小さい頃は、絵本やアニメに出てくるお化けが怖かったが、現実主義の両親から「幽霊なんていない」と何度も言い聞かせられ、いるわけないと長年信じきっていたのだから、完全に慣れない訳がない。見えるようになって早5年。医師ミストレス・ウィルバーフォース、25歳。

「最近、幽霊が覗き見してこなくなったな。もう懲りたかしらね」

そう思って、女子トイレに向かう。

「......」

今度はトイレの幽霊、花子さん。

「なんで日本の幽霊が海外に現れるのよ...」

ミストレスの苦悩は絶えない。彼等が見える限りずっと。

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