冥府の悪霊達 28 ページ28
2人から目を背ける。泣き腫らした目は、年相応に毅然としていていた。
シュネル「私は、ずっと信じてきた。どんなに痛い目に遭っても、どれ程の暴言吐かれても、貴方達はそれを後悔しているって...。
心の奥底は、本当はこんな事したくない。謝りたい。いつだってやり直したい。...と、貴方達は死んでからやっと、そう思っているだろうって信じてた。結局、私の思い違いだったんだね」
シュネルはもう、両親を両親と見なかった。
2人の身体は、胸の辺りまで消えていく。
シュネル「貴方達を許そうとした、私からの愛を貴方達は否定した。そして、幸せな私を妬んで、殺そうとした。...そんな酷すぎる両親を、誰も...私も許したくない」
2人は、言う気力がなくなった。首の辺りまで浸食する。気力がなくなったと言うより、声帯が消えたのだろう。完全に消滅するまでの瞬間が来る。
シュネル「......私は、貴方達を許さない。もう愛さない。2度と過去を信じない。......けれど」
シュネルは背を背け、顔だけをこちらに向けた。
シュネル「私を憎んでも殺さなかったその理性だけは、認めるよ。これから私は、私の人生を歩んでいく。貴方達を完全に忘れる事は出来ないけれど...私が貴方達に抱いていた希望は、これで見限る事にするよ」
再び目を背け、最後の一言を言った。
シュネル「さようなら」
糸に巻かれ、魂の身体が溶けて消えかけていたシュネルの両親は、その言葉と共に音もなく気化して、消滅した。後に残された糸は、シュルシュルと役人達の元へと戻った。
シュネル「っ...」
不意にしゃがみ俯き、慟哭した。
シュネル「あああああああああああ‼...お父さん...お母さん...‼あああああああああああ...‼」
本当の別れをやっと悟り、シュネルは泣き続けた。何度生まれ変わっても、2人はもう目の前に現れない。2人は生まれ変わってやり直す資格すら、消えた。分かっていても、子供が親に対する気持ちは、いつだって正直だ。
シュネルは泣き続けた。不思議と、泣く度に親への執着が薄れていくのを感じた。
やがて泣き終えた時、無駄だった思いを断ち切った、立ち直った顔つきに戻っていた。
パーシアス「なぁ...」
少年が呼びかける。
シュネル「もう、平気だよ...」
1人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 新藤息吹さん» ありがとうございます!アンテをもしやるとしたら、ずっと平和ルートばっかすると思います(笑)フラウィー戦もヒーローアンダイン戦もやりたい気持ちはありますが、やりたくないです(笑) (2018年11月17日 21時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
新藤息吹(プロフ) - 面白かったです!見事にUndertaleにハマりましたね… (2018年11月17日 20時) (レス) id: 4a72550ddd (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - すぐ終わるかもしれない話です(笑)一応、ホラーチックな(?)ストーリーになります。 (2018年11月14日 22時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
新藤息吹(プロフ) - 面白かったです!体を温めてゆっくり休んでくださいね! (2018年10月26日 18時) (レス) id: 4a72550ddd (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 訳ありまして、私ルツは...『ルツ・ヒューイット』というペンネームに変えます。呼び方はこれまで通り『ルツ』で大丈夫です! (2018年10月13日 18時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ