HTF小話集と短編集！！そのⅤ (ページ49)

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赤いドレスのシンデレラ 14 ページ49

「あ、あああ...!」

泣き声を帯びた声を漏らし、駆け出した。

トゥーシー「ちょっと!」

手を掴もうとしたがすり抜けてしまった。前方には着飾った2人の女性がいた。黒いローブの相手の知人だろうか。何故なら、ホームレスが2人に飛びついても嫌な顔せず抱き締めていたからだった。

トゥーシー「どうしようか...」

このまま連れて行くのは可哀想に思えた。3人が幸福をかみ締めているような顔をしていたからだった。長年会わなかった日々を経て、邂逅を得た幸せを。
ふと、後ろに2人の上司がいた事に気付いた。

トゥーシー「ああ、ちょうど良かったです。あの、前方に見える黒いローブのホームレスがいるんですけれど、連れて行ってもいいですよね?」

だが警官は気付く。上司の顔がただ事ではない表情をしていたのだ。

ポップ「トゥーシー君、何を言っているんだ?」

トゥーシー「は?何って...」

ディスコ「俺達、さっきからお前を見ていたんだけど...お前、ずっと壁と向き合って話してたじゃないか。誰と話してたんだ?」

トゥーシー「え、いや...あの2人の婦人と抱き合ってるホームレスですよ」

と言って指差すが、そこには誰もいなかった。

トゥーシー「あ、いなくなった!すぐ追わなきゃ...」

と言いかけてハッとした。隠れられる場所も無く、すぐにいなくなる程時間が経っていない事。風に溶ける糸のように消えてしまったようだった。
また気が付かなかったが、あのホームレス。駆け出した時に影が無かった事を。抱きとめた婦人達にも壁に出来るはずの影が無かった事も。

トゥーシー「まさか、あのホームレスの話...。いや、あのホームレスは...」

ある所にシンデレラという娘がいました。とても残酷な性格で、2人の義姉を虐め、遂には殺してしまうのです。義姉を愛する魔法使いはシンデレラを殺して仇を打ち、この世から去りました。罪を背負いこの世を彷徨い続け、魔法使いはようやく、義姉達と再会出来ました。そしてあの世へと旅立ちました。向かう先が天国なのか地獄なのか分かりません。それでも3人は怖くありませんでした。愛する友達がいる。それだけでも幸せだったからです。願わくば、不遇だった前世から抜け出して、来世で共に幸せに過ごす事を願っています。

END