高峯家の居候プロデューサー

居候07 ページ8

「先輩見て下さいこれ…」


二人して同時に目を輝かせる。


とある雑貨屋のゆるキャラコーナー。


「うわああああああ可愛い…抱き枕にしたいレベル…鼻血モノだよこれは…」


とにかく可愛い。


うさぎモチーフのそれは、可愛いというかなんというか。


微妙な距離感のある目に、小さな口。


「マジで先輩それ好きっすよね」


「もちろん。ずっと見てても飽きないし」


翠はふっと小さく笑うと、そのぬいぐるみを私の手から取り上げた。


何も言わずくるっと踵を返し、歩いて行く。


どうしたんだろう。


彼は鞄から財布を取り出した。


「もうそろそろA先輩の誕生日ですから。すこし早い誕プレです。」


レジの店員さんにぬいぐるみを手渡し、お金を払う。


私は綺麗にラッピングされたそれを受け取る。


「誕生日おめでとうございます♪」


「いいの…？ありがと…嬉しいっ」


私はそれをぎゅっと抱きしめた。


「大切にするね…！！」


翠は私の頭を撫でた。


「先輩が喜んでくれるなら俺何でもしますよ」


次本屋行きましょうよ、と、歩き出した彼を慌てて追う。


私は彼の大きな手を握った。


「先輩急にどうしたんすか？」


「プレゼントのお礼。」


翠は、はいはい、と適当に私をあしらい、手を握り返した。


「お返し期待しときますね？」


「あ、もちろん。何がいいかなあ…どうせなら身長引き取ってあげる。」


ドヤ顔でキメてみると、彼は大笑いし出した。


「先輩らしいプレゼントっすね。でも俺先輩からなら何でもかんでも嬉しいですから。」


でも、A先輩を貰えれば一番嬉しいですけど。とか訳の分からないことを言った。


「なに、それ。」

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