罪 「名前」 ページ3
僕は彼女を連れてある廃屋へと向かいました。
何故僕がその様な場所を拠点としているかといえば、ただ単に資金が足りなかっただけなのですが、広い場所とは此処くらいのもので、あとは暴力団等が貸し切っているのです。
僕の異能を使えば容易なのでしょうが、流石に大量殺人という訳にもいきません。
僕もまだ駆け出しなものですから、勿論あまり機材も買える筈もなく、スペース等そこまで必要なものでもなかったのです。
これなら自宅でも良かったのではないかと思ってしまう程ですが、今後を考えて広めな場所を探していたところ、此処が見つかったのです。
「此処が今日から貴女が過ごす場所になりますが、お気に召していただけるでしょうか？」
「えぇ、何処でも構いません。」
彼女はまるでカルガモの様に僕の後ろをただついて来るだけで、周りに興味を観さない姿から少し苦笑いをしてしまいました。
「見て回らなくても宜しいのですか？せっかく来たのですから、この建物内なら何処に居ても構いませんし…。」
そう言うと彼女は僕の座るソファの隣に立つと、「えぇ。」と言ってそのまま微動だにしなくなってしまったのです。
その理由も、僕が所有する範囲は此の部屋呑みだと気付いたのでしょう。
勘はある程度働くようです。
「すみません、ソファは一つしか無いので、嫌でなければ隣へどうぞ。」
そう言って隣のスペースをポンポンと叩くとそれに従う様に腰を下ろしました。
自我が無いのは良いものの、指示を出さなければ動かないというのも苦労するのだとこの時に学習しました。
そうしていると今まで一言も話さなかった彼女が口を開きました。
「私は…ローゼ・ユリウスレス。貴方は…？」
突然問われると思わず少々戸惑いながらも僕も名乗りました。
「僕はフョードル・ドストエフスキーです。呼び方は何でも構いませんよ。」
そう言うと彼女は用が済んだ様に俯くとそのまま再び黙り込んでしまった。
此のとてもと言って良いほど居辛い空気をどうにか脱解しようと声をかけようとしたその時でした。
「______素敵な名前…ですね…。」
僕は驚きを隠せませんでした。
何故なら彼女に感情が存在したのかと思ったからです。
唯気になる事と言えば無表情なうえ、声のトーンは波も無ければ感情も感じられません。
それが意味するのは思考が探れないこと。
唯、今の彼女は少し気を休めている様にも見えたのは此処だけの話です。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽいふる(プロフ) - 海璃さん» 有り難う御座います！更新が遅れてしまっているので、頑張ります！これからも応援宜しくお願いします！ (2018年12月5日 11時) (
レス) id: e8bdc43140 (このIDを非表示/違反報告)
海璃(プロフ) - 入りから凄く面白いです！更新楽しみに待ってます(*^^*)頑張って下さい！！ (2018年11月29日 12時) (レス) id: 36e39e0c71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽいふる | 作成日時：2018年9月15日 19時
