過保護【椿】 ページ31
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夕方。今日は停電が発生したり普段よりも悪戯が多かったが、私は平然と対処し、自室に戻り
小説の執筆をしようと自室に戻る最中、啜り泣く声が聞こえた。過保護の血が騒ぎ、その声を
追って行くと、大和の自室に辿り着いた。どうやらその声は大和の自室から聞こえるようだ。
「大和ー…?」
悪いとは思いつつも、「泣いているならば話は別だ」と割り切り、私は扉の取っ手を捻る。
そこには布団に苦しそうに眠る大和と、その横で顔面を覆うように啜り泣く春亜が居た。
「…春亜?どうしたの?」
私は大和の前に啜り泣く春亜を落ち着かせようと、乳児を宥めるように優しい声で春亜に
話し掛ける。春亜は苦しそうに歪んだ表情でこちらを振り返ると、再度顔面を両手で覆った。
「大和さんが…っ、起きないの…っ!」
「…あー、そっかそっか。それは怖かったね。もう大丈夫だよ、お姉ちゃんに任せて!」
私はそう言うと、春亜の頭に手を置いた。そして、大和の容態を確認する。試しに額に手を
当てた。元々冷えていた手は、額の熱さを過剰に私に伝えた。これはかなりの高熱だ。額に
触れるのみで十分に理解出来る。私は春亜をその自室から連れ出し、キッチンに向かう。
「うえっ、うえええん…!」
「おお、良し良し。大丈夫だよ春亜。大和はね、少し頑張り過ぎただけだから、安心して。」
そう宥めても春亜は大和が心配なのか、泣き止む様子は無い。私は悩みつつも、コップに
水を注ぎお粥を作ると、棚からお盆を取り出しそれに乗せた。けれど、春亜は絶えず涙を
流している。私は少し頭を抱えたが、決意の末紗良に預ける事にした。紗良はまだ私には
及ばないが過保護だ。あまり心配は掛けたくなかったのだが、仕方が無いと声を掛ける。
「紗良ー!」
「はーい!何、椿ねえ…って、春亜!?椿姉さん、何かあったの?」
「実はね…」
私はそう前置きをし、一連の出来事を語る。紗良はその一連の出来事を硬い表情で
聞いていたが、話し終えると了解の言葉を吐き、春亜を説得させるようにそう語った。
「良し…!」
そうして孤独になったところで、私は自分を奮い立たせると、大和の自室に入室し、
大和に近付いた。普段は悪戯をしている正に子供のような大和の面影は無く、息を
荒くし目を伏せている。私は紗良に渡された濡れたタオルを大和の額に置いた。
「_っ、う〜…」
それからする事も無く、体温計を使用していたりしていると、大和が目を開けた。
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みかんにゃ〜(プロフ) - 更新しました (2019年11月12日 19時) (レス) id: 83ebd4c65a (このIDを非表示/違反報告)
みかんにゃ〜(プロフ) - 更新します。時間かかるかもしれません… (2019年11月11日 21時) (レス) id: 83ebd4c65a (このIDを非表示/違反報告)
恋華@Aile//sud Reader(プロフ) - 更新しました!誰か繋げてください…! (2019年11月11日 20時) (レス) id: e69227227d (このIDを非表示/違反報告)
恋華@Aile//sud Reader(プロフ) - 更新します! (2019年11月11日 20時) (レス) id: e69227227d (このIDを非表示/違反報告)
恋華@Aile//sud Reader(プロフ) - ありがとうございます!助かりました! (2019年11月11日 20時) (レス) id: e69227227d (このIDを非表示/違反報告)
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