ひとりじゃない証 【金田一少年の事件簿】初代実写版

31話 ページ32

雨宮「ちひろが家出なんかするわけないんだ…ッ!きっと…きっとこの学校に何かあるに違いないとそう思って…!返せぇ!!返せぇ娘を!!!」



取り押さえられながらもそう悲痛に叫ぶ雨宮さん。
あたしはそれを横目に腕の中の先生を見る。



『先生!しっかりしてよ、先生!』


浅野「いいのよ、もう……っあたしは…こうなるべきだった…っ」



荒々しい息をする先生。
そして先生は「ごめんなさい…」と用務員さんを見上げてそう言った。
用務員さんの動きが止まると同時に先生は静かに崩れ落ちた。
あたしは揺さぶるように先生を動かす。



『先生!!』


一「先生!」


一「『先生ぇぇ!!』」



どんなに呼んでも、あの優しい声で呼び返してくれない。
あの優しい顔で、あたしたちを心配してくれない。
あたしが怒られた時、優しい顔で、声で宥めて、庇ってくれない。
「大丈夫」って笑ってくれない。
もう、先生は二度と目を覚まさない…。


どんどん腕の中で冷たくなっていく先生に、『先生ぇ…!』と最後の呼びかけをする。


もう戻ってこない先生。


俯いて先生を抱きしめるあたしの肩に警部さんは手を置くと、皆を見た。



警部「…放課後の魔術師は、二度と現れやしない。永久にな」



その言葉の後に、用務員さんは崩れ落ち、頭を抱えて泣き出した。
何とも言えない空気がこの場に流れる。
そっと近づいてきた金田一君があたしを後ろから抱き締めてくれた。
包帯が巻かれている頭を傷に触れないようにゆっくり撫でてくれる。


せんせ……っ。

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