ひとりじゃない証 【金田一少年の事件簿】初代実写版

30話 ページ31

一「だから、尾之上が残したダイイング・メッセージに気付きかけたAと美雪を襲ったんだ。浅野先生と僕が一緒にいるということを確認した上でね。そして捜査の目があなたに向く前に、全ての罪を被り自 殺した。……全てはあなたを守る為にやったことだったんだ!!」



そうだったんだ…。


浅野先生は一筋の涙を流した。
そしてか細い声で告げる。



浅野「そうよ……。10年前、青山ちひろを殺したのはあたしよ」



浅野先生は昔の事を語った。


ちひろさんが六不思議の事や死体を隠したのは的場先生だと気付いてしまい、それを止めようとした先生ともみ合いになり、ちひろさんは階段から落下して死んだと。

先生は机に腕を置いてしゃがみ込んだ。



浅野「殺す気なんてなかったの……。ただ…的場先生を守りたかった…」


羽田「何故だ……何故そこまでして的場先生のことを…」


浅野「あたしは愛してた。あたしがこの学校の生徒だった頃から…10年間……ずっと愛してた。………けれど先生は…一度もあたしに振り向いてくれなかった。あたしはただの教え子だった……10年間…10年間、ずっとそう思い続けてきた」


警部「愛してもいない女のために…死ぬような男はいないよ……」



的場先生は本当は…浅野先生の事を…。



警部「30年前に犯した罪の重い十字架を的場は背負っていたんだ。人を愛する資格などないと、自分に言い聞かせていたんだろう」



あたしたちが無言で見つめる中、先生は立ちあがってあたしたちを振り返った。
そんな先生の顔を見れなくて、あたしは俯いてしまう。
刑事さんが先生を逮捕しようと歩き出したその時。



雨宮「うおおおおおああああ!!」



止めようとした刑事さんをすり抜けて、用務員さんはナイフを構えながら先生へと向かっていった。
そしてそのナイフを深々と先生のお腹へ刺した。
「『先生…!』」とあたしと金田一君が声を上げる。



雨宮「勝手なことを言うな!何が愛していただ…!何が守るためだ!私だって愛していたんだ!誰よりも愛していたんだ!娘のちひろを…!!」


警部「娘…!?」



用務員さんは先生を床へと投げ倒すと、もう一度ナイフを振り上げた。
それを押さえるように後ろから警部と刑事さんが用務員さんを取り押さえる。
あたしはその隙を見て、用務員さんの手にあるナイフを蹴り上げて遠くに飛ばすとすぐに先生を抱き起した。
用務員さんは刑事さんたちに取り押さえられ、あたしに蹴られた手を押さえながらも必死にもがいていた。

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