第36話 「自分で決めた」 ページ38
「ヘンデが戻ったぞーっ」
眠りについていたAとヨナとカナはその声ではっと目を覚ました。
急いでテヨンが眠っている部屋へとテウたちと共に向かう。
「テヨン、大丈夫?」
薬を飲むテヨンにヨナがそう声を掛ける隣でテウとカナは布団の上に倒れているヘンデに向かって声をかけた。
「「神業的な速さだな、ヘンデ」」
「ヘンデにおまかせー」
『苦しくない?欲しいものある?』
Aがテヨンの顔を覗き込みながらそう聞くとテヨンは顔を上げてニコッと笑った。
「ありがと。おれ、元気だよ」
その微笑みにA達の胸がきゅうううんと音をたてる。
皆はその笑顔の可愛さにテヨンをぎゅっと抱きしめた。
「ヘンデ、生きろーっ」
「大丈夫?ヘンデ」
ぱたりと倒れるヘンデに軽い口調で声をかけるテウとカナ。
「よし、俺は商団の見舞いに行ってくるわ。ついでにこの屍、葬ってくる」
「よろしくー」
「生きてるつもりー」
テウ、カナ、ヘンデのやりとりを見ていたヨナとAは顔を見合わせると立ち上がってすぐにテウとヘンデの後を追った。
その後ろ姿をカナはじっと見つめて、ため息をつくと自分も立ち上がり2人の後を追う。
テウとヘンデが家に入っていくのを見ていたAとヨナ。
「はいっ、どいたどいた」
ドタドタと後ろから声をかけられて、布団がぶつかったヨナとAはうしろを振り返った。
「あら、リナちゃんリサちゃん」
『「おば様」』
「あらやだ、おば様なんて」
「上品な呼び方ね」
そう言って2人を追ってきたカナがそう言うとおばさんはカナを振り返って「丁度良かった。これ運んでいてくれ」とカナに布団をどさっと渡した。
「まったく。火の部族のヤツら、めちゃくちゃやるんだから。中はケガ人だらけだよ」
そう言ったおばさんに3人は目を見開いた。
急いでカナが布団を家に持っていくとその後を追うためにAとヨナも走り出して家の中へと入る。
すると中には指示を飛ばす風の部族の人たちと床に寝かされ手当てを受けている商団の人たちがたくさんいた。
―――火の部族に襲われた、商団の人達…―――
呆然とその姿を見ていた3人。
するとAの背中にドンッと誰かがぶつかった。
「おっと」
「ううう、どうしてこんな事に…」
ぶつかられて振り返ろうとしたAの耳に、商団の人の声が聞こえてきてカナたちはそちらに目を向けた。
傷だらけの女の人が先程のおばさんに手を握られながら泣いている。
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時