44話 ページ45
驚いた蘭は窓を開け、ゲレンデを登っていく愛梨を見つめた。
蘭「愛梨ちゃん……!!」
愛梨はなおも雪煙を上げながらゲレンデをジグザグに上り続けた。
すると、スノーボードから再び火花が飛び散った。
愛梨「っ!こんなときに!」
ターボエンジンがショートし、愛梨は新雪の中に突っ込んだ。
蘭「愛梨ちゃん!」
小五郎「やべっ!」
ジープから見ていた蘭と小五郎が叫ぶ。
愛梨「クソッ!クソッ!クソーーーーッ!」
雪の中から出てきた愛梨は、くやしさのあまり雪で覆われた地面を強く叩いた。
すると───地面が揺れ、ゴゴゴ…とくぐもった音が聞こえてきた。
振り返ると、愛梨がジグザグに上ってきたところの雪が裂けはじめている。
さらにその裂け目が愛梨を通り越し、ゲレンデの頂上まで一気に伸びたかと思うと、次々と雪が崩れていった。
頂上から巨大な雪崩が轟音と共に愛梨に向かって進んでくる───!
愛梨「やっば!」
愛梨はスノーボードでゲレンデを滑り降りた。
小五郎「アイツ、やりやがった……!」
走るジープから雪崩を見た小五郎が思わずつぶやき、
園子「逃げてーーーーーーー!」
園子が叫んだ。
愛梨はゲレンデを直滑降しながら、後ろを振り返った。
巨大な雪の波が雪煙を上げながら、ものすごい勢いで追いかけてくる。
ゲレンデの下では谷間に濁流が押し寄せていた。
(間に合って……!)
次の瞬間───こぶに乗り上げた愛梨の身体は宙に浮いた。
その背後を巨大な雪崩が押し寄せる───!
蘭「危ない!」
蘭は思わず叫んだ。
その瞬間、ズームアップされた犯人追跡ピンに蘭の姿が映った。
(蘭……!)
巨大な雪の波は愛梨をあっという間に飲み込むと、ゲレンデを一気に滑り落ちた。
蘭「いやーーーーーーーー!!」
蘭を乗せたジープがゲレンデの下を通過すると同時に雪崩は県道を超え、一気に川に流れ込んだ。
雪崩と濁流が激しくぶつかったかと思うと、雪崩に押さえ込まれた水は流れる方向を変えた。
雪崩はオートキャンプ場の手前まで流れ込み、濁流は北ノ沢村の県道をつなぐ橋を破壊しながら、村の真横を通過していった───。
気を失っていた愛梨が目を開けるとそこは暗闇だった。
すぐに雪の中だと気づく。
雪崩に埋まってしまったのだ。
遠くの方で蘭や小五郎の声が聞こえる。
(……どうやら巻き込まれずに済んだみたい。私もこっから出ないと……)
右腕を動かそうとしたが、力が入らない。
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さきっち(プロフ) - カノンさん» あっていますよ。小説ではそうなっているので (2016年12月10日 22時) (レス) id: f7c94deca4 (このIDを非表示/違反報告)
カノン - 20話のスカイツリーはベルツリーです (2016年12月10日 17時) (レス) id: bbf6c28e51 (このIDを非表示/違反報告)
榛風乃愛 - お願いなんですけど、偽名の名前って設定できるようにしてくれませんか?できなければ良いですけど (2016年8月13日 17時) (レス) id: 529c6859a3 (このIDを非表示/違反報告)
わー(プロフ) - 更新お願いします(≧ω≦) (2016年5月1日 19時) (レス) id: 8cf7868275 (このIDを非表示/違反報告)
ネココロネ - 面白いです!他の作品も楽しみにしてます! (2016年4月16日 17時) (レス) id: 2aebc9cb9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2014年12月16日 20時