【歌い手】シェアハウスでの日常。season12

＊３８５＊学園祭開幕！ ページ10

―――…そしてやってきた、学園祭当日。



「Aちゃんには列さばいてもらいます！あとは頼まれたことやってくれればいいから！」
『うん！』
「Aちゃんは2時半に終了ね！お腹すいてダメにならないように、お菓子かなんかポケットに入れておいて補給してね」
『了解！』
「うし！頑張ろうね」


占いの館の手伝いを頼んできた友達がにっと笑って親指をたてる。
私も、笑顔で親指をたてた。


今日は、学園祭当日。
あと15分もすれば、一般のお客さんもはいってくるだろう。

そして、この占いの館ブースは毎年とても混雑する…らしい。

今日の朝、シェアハウスを出るときに、アンさんが笑顔で「昼過ぎから行くね」と言っていたから、きっと店長も灯油さんも来るのだろう。

まふくんも、そういえば来るって言ってたな。


一応シェアハウスのメンバーに、「2時半から休憩なので何かあったらメールください」とメールを送信しておく。

―…よし。


放送がかかり、ざわざわとした騒がしさが近づいてきた。


学園祭が、はじまる。

＊

*天月side*

「しゃーむくん、まわりに行こっ」
「あ！天月くん」

しゃむくんの教室に顔を出すと、しゃむくんはぱっと顔を輝かせた。

俺としゃむくんの所属しているところの出し物は、展示。
ぶっちゃけ手抜きだ。

でもまあ、学園祭を楽しみたいからと展示にするところも毎年必ずある。
いや、無いはずがないのだ。

現に、俺たちがそうだから。

しゃむくんは話していた友達に手を振って、こちらへやって来た。

「Aは？」
「あれ？メールきてない？2時半から休憩だって」
「あっ、ほんとだ」

携帯を見て、ふっと笑顔になるしゃむくん。
…ていうか、しゃむくんにちょっと確認したいこと、あるんだよねぇ。

そう思った俺は、しゃむくんの肩に腕をまわす。

「えっ、天月くん！？ど、どうしたの」
「…ねえしゃむくん、中庭に巨大迷路できてんの知ってるよね？」
「ああ！うん、ぽこたさんとか、教授とか先輩が頑張ってたね」

しゃむくんが思い当たったように、ぽんと手を打つ。
…今まったく関係ないけど、ほんとにしゃむくんの行動はいちいち女子力が高い。

人差し指をたてる。

「そろそろ96ちゃんに帰ってきてほしいよね」
「…う、うん」
「最近びすくんとAの様子がおかしいってまふくんがぼやいてた」
「そう、だね」

頷いたしゃむくんに、俺は、にやりと含み笑い。

「この状況を一気に打破する方法。―…思いついたんだけど？」

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