*410*“サイテー” ページ35
*天月side*
「灯油さん。よかった、見つけてくれたんですね」
「…ああ。目立ってたぞ、お前ら」
「えへ、やっぱり」
壁際で見ていた灯油さんを見つけ、話しかけると、灯油さんは手近なテーブルからグラスをひとつ差し出してくれた。
中にはいっているのは、たぶん甘いお酒。
グラスを傾けると、ふわりと上品な甘さが鼻に抜けた。
ふぅ、と息をついて、ホールの真ん中でくるくると踊るAとアンさんを見る。
―…先ほどの自分のことばが、頭から抜けない。
「…灯油さん」
躊躇したけれど、ここで吐き出してしまおう。
珍しくそう思って、灯油さんに声をかける。
「なんだ?」
灯油さんは小首をかしげて言葉を促す。
俺は、グラスの足をもてあそびながら言った。
「Aが、さ」
「ああ」
「…びすくんのこと、好きになると思う?」
灯油さんが、沈黙した。
考えているのか、それとも俺の問いが子供っぽすぎて呆れているのか。
灯油さんは、沈黙が多いだけに、沈黙の意味が読み取れない。
割と人の考えていることを予想するのは得意な方だと自分で思っているけれど、灯油さんとアンさんはなかなかどうして読めない。
そういう意味では、この二人組は一番恐ろしいのかもしれない。
そんなことを考えていると、灯油さんがゆっくりと口を開いた。
「…それは、Aにしかわからないんじゃないのか」
「でも、」
「俺は、恋愛にロマンスとかそういう夢見がちなものを求めるわけじゃない。
でも、…まあ、クサい表現にすると“落ちる”んじゃないのか。恋に落ちるって、よく言うだろ。条件なんて、いくら考えてもキリないと思うぞ」
“いくら頭いいお前でもな”
コツン、灯油さんが俺の頭を軽く小突いた。
俺は、俯いて言う。
「…俺、Aに、“びすくんと、友達として踊ればいいよ”、って、言ったんです。Aの感情が恋愛に発展する道を、ふさごうとした。“友達”って、関係を言葉として確立させれば、恋愛って関係にならないと思った。…馬鹿ですよね」
「…あの、天月には悪いが、馬鹿っていうより、」
「サイテー」
灯油さんが口ごもったところに割り込んだ、声。
ムッとした声色、背中に軽く当たった拳。
彼は。
「…うわ、最悪まふくんじゃん」
「最悪とか失礼だからね…!?」
眉間にしわを寄せるまふくんだった。
〜〜〜〜〜
お祝いコメ一杯ありがとうございます…!
ひいぃ後夜祭かいてて楽しい
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はる(プロフ) - 受験生ですがいつもニタニタしながら読ませてもらってます!いやー、後夜祭幸せですうふ。更新頑張ってください!応援してます! (2014年12月30日 0時) (レス) id: b5e628d4b6 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 昨日今日で1話から全部読ませていただきました!すごく面白いです!!まふくんあざと可愛い//嫁にしたいww更新頑張って下さい!楽しみにしてます!!! (2014年8月8日 17時) (レス) id: ac3cfb6034 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽(プロフ) - ありがとーございます!ですよね?灯油さんターンになったけど、天月くんどうなったのかな?とか思いました笑わっかりました!今から行きます。ちょっと待っててください。あ、タメでいいですよ同い年なので笑 (2014年8月6日 20時) (レス) id: fd10587820 (このIDを非表示/違反報告)
さやえんどう(プロフ) - 夢羽さん» うわああああフラグ回収忘れてるうわあああああうわああああうわあああry すみません取り乱しました…。た、多分、「一体誰に会ってたの?」だったと思います!多分!すみません! 友希は申請してくださればどんどんオッケーします! (2014年8月6日 17時) (レス) id: 6ce064ce99 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽(プロフ) - 初コメしたくせにうん、ずうずうしいですね。ごめんなさい。友希してもいいですかー?とか思っちゃったり、、、 そして、あの、海のところで天月くんが夢主に言った「***」は、なんだったのかなー、みたいな、、ところどころのフラグ回収忘れてますよね?(ゲス顔) (2014年8月6日 11時) (レス) id: 964f2375d3 (このIDを非表示/違反報告)
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