*388*閉じ込められた ページ13
困惑を隠せずにいると、女性の声がかかる。
「あの…グループでしょうか、どなたから入られますか?」
見ると、私たちは列の最前列にいて。
きょろきょろと周りや、みんなの顔を見回す。
―…そこで、気づいた。
『ユリカさん!?』
「ハァイAちゃん、訳アリのようね〜。でもお願いだからはやく入ってほしいな、詰まったら怒られるの私なのよ〜」
受付をしていたのは、花たんさん…もとい、ユリカさんだった。
迷路の入り口は三つあるらしく、ユリカさんはその3つの真ん中くらいに立って表情で急かす。
すると、天月くんとしゃむくん以外にいち早く状況を察したらしいアンさんが言った。
「96店長からいこう!ね!」
当然、96ちゃんと店長は驚いたような面食らったような顔をする。
けれど、天月くんがアンさんにこっそりウィンクをすると、96ちゃんの背中を押した。
灯油さんが、店長の背中を押して。
ユリカさんは本当にさっさと入ってほしかったらしく、右側の扉に二人が入ったらすぐに扉を閉めてしまった。
そして、「次は」という表情でこちらを見てくる。
天月くんが、まふくんの手をとった。
「!?え、ちょっと天月くん。俺Aとびすくんと」
「俺らはいりまーす、花たんさんヨロシク」
「はーい早くして」
そのまま天月くんは、嫌がるまふくんを引きずる。
ユリカさんが開けた真ん中の扉に入っていって、言い争う声が遠くなった。
…残ったのは、私と、びすさんと、しゃむくんと、アンさんと、灯油さん。
『え、…えーと…』
次は誰だ、唯一の女性の96ちゃんが入っちゃった時点で私はもうすでに不安だぞ。
すると、灯油さんが嘆息して。
「天月、最後まで責任とってけよ…。
俺とアンとしゃむおんで入るから、Aはびすさんと入れ」
『えッ』
目を見開く。
アンさんが、私とびすさんの背中に手を置く。
まさか、と肝が冷えた。
けれど、そう思ったが遅い。
「はーい、花たん開けてー2人入るー」
アンさんの声と同時に、背中に強い力を感じた。
嘘だろ、片手でこんな力。
けれど、反射的に反応したユリカさん。
よろけたかと思えば、――…パタン。
私たちの後ろで、扉が、閉まった。
さっきまで近くにあった文化祭の喧騒が嘘みたいに遠ざかる。
壁ひとつ通しただけで、こんなに別世界。
よく考えれば、この中庭はかなり広いことでも有名だ。
…これは、出るしかないのか。
331人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はる(プロフ) - 受験生ですがいつもニタニタしながら読ませてもらってます!いやー、後夜祭幸せですうふ。更新頑張ってください!応援してます! (2014年12月30日 0時) (レス) id: b5e628d4b6 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 昨日今日で1話から全部読ませていただきました!すごく面白いです!!まふくんあざと可愛い//嫁にしたいww更新頑張って下さい!楽しみにしてます!!! (2014年8月8日 17時) (レス) id: ac3cfb6034 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽(プロフ) - ありがとーございます!ですよね?灯油さんターンになったけど、天月くんどうなったのかな?とか思いました笑わっかりました!今から行きます。ちょっと待っててください。あ、タメでいいですよ同い年なので笑 (2014年8月6日 20時) (レス) id: fd10587820 (このIDを非表示/違反報告)
さやえんどう(プロフ) - 夢羽さん» うわああああフラグ回収忘れてるうわあああああうわああああうわあああry すみません取り乱しました…。た、多分、「一体誰に会ってたの?」だったと思います!多分!すみません! 友希は申請してくださればどんどんオッケーします! (2014年8月6日 17時) (レス) id: 6ce064ce99 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽(プロフ) - 初コメしたくせにうん、ずうずうしいですね。ごめんなさい。友希してもいいですかー?とか思っちゃったり、、、 そして、あの、海のところで天月くんが夢主に言った「***」は、なんだったのかなー、みたいな、、ところどころのフラグ回収忘れてますよね?(ゲス顔) (2014年8月6日 11時) (レス) id: 964f2375d3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ